2017-01-25
命の味
魚屋さんの前を通りかかると、アラが並ぶいっかくに鯛のお頭があり、凍える寒さの夕方、旨味たっぷりの熱々な潮汁が飲みたくなった。そこで、鱗を取り除いて半分に割って貰った鯛のお頭と、ざっくりと切った長葱を鍋に入れコトコト煮ること10分ほど。やや白みがかった汁の表面にはうっすら脂が浮いて、見るからに旨味が出てます!という感じ。一口すすれば、滋味溢れる上品な味が喉からじんわりと体全体に染みわたり、自然とほぉ~と溜め息がもれる。塩も醤油も出汁も入れていないのに、程好い塩み、ほんのりとした甘さ、鯛の持つ深い味に感動しつつ、生き物の命をいただいているのだなぁと感謝の気持ちが湧いてくる。お椀に残った鯛の目玉が、忘れるなよと語っていた。
2017-01-20
あなたもフラガール
大船駅近く、商店街の細い路地にハワイアン風な雑貨屋さんが出来ていた。周りは八百屋に魚屋、飲み屋さんなだけに、白い壁にハイビスカス柄の服やイルカの置物などが並ぶ店内は、そこだけほっこりした島のように見える。今日そのお店の前を通りかかると、着れば誰でも即フラガールになれる、そんなTシャツが飾られていた。胸元にフラを踊る女の子が描かれているのだけれど、顔が無い。ちょうどTシャツの首もとに、イラストの女の子の首があるので、着ると自分の顔とくっついて見えると言うしくみ。どんなに怖い表情でもどれ程悲しい気持ちの時でも、陽気に踊る二頭身フラガールになれるのだ。笑顔、間違いなし。大寒越してこれからが寒さ本番だけれど、このTシャツ一枚で自分の心は晴々と、周りの体感温度もハワイ並みに上げてくれそうな気がする。
2017-01-13
お弁当箱
鎌倉市内の中学校が、希望者への給食を始めるとのこと。お役目御免となるお弁当箱はどれくらいあるだろう。お弁当箱って、何故か捨てられない。波乗りへお弁当持参で来られる方をたまに見かけると、お子さんのお古だったり、ご自身が学生時代に使っていらしたものだったりと言うことが多い。また役どころを変えての活躍もあり、釣りをされる方だと針や糸入れに、友人はドッグフードケースや筆箱代わりにしていたりして、思わぬところからのお弁当箱登場に驚く時もある。そして、その大きさや形、色や模様などからその人の幼少期が、また家族模様まで伝わってきて、手のひら大ほどの箱はまるでアルバム。
2017-01-06
成長
103歳の画家篠田桃紅さんは、お変わりなく…と言われるのがお嫌いだと、新聞記事に書かれていた。「昨日と今日で自分が同じはずない、いつだって進化している、馬鹿にするなと言いたい」と仰る。100歳を越えて尚、より人の心をつかむ作品の為に毎日墨を磨るその貪欲さ、その努力を思えば、変わらないとは何たることか…と思われても当然であろう。凡人の私と並べるべきではないけれど、パドル力を高める為、腕立て伏せを毎晩、回数を一回ずつ増やしていこうと試みた事がある。が、毎日一つ増えると言うのがこれ程に大変だとは思いもしなかった。しかし、成長を実感する喜びは、次の努力へ向かわせる最大の力を持つのだと思う。昨日よりも進歩、昨日より感動、昨日より笑顔…。この一年心掛けていきたい。