2020-05-29
コウイ イロイロ
緊急事態宣言が発表されてから解除までの約1ヶ月半を、様々な「行為」(コウイ) で振り返ってみた。まずは、医療関係の方による休み無き対応は、功為。多くのイベントが中止された事に対しては、控為。休校による子供への影響であれば、校為。買い物の仕方が変わった、購為。オンライン飲み会など食の面なら、肴為か? 沈みがちな生活に一筋の輝きを与えてくれたアーティストへは、光為。また、自宅菜園を始められた人が増えたとのことで、こちらは耕為。そして、ウィルス感染対策を通し、様々な事を考えさせられた、考え直した、まさに「考為」の出来事。最後に…挨拶のハグやキスや握手を交わせる、交為の日がくるまで、もう少し辛抱していこう。
2020-05-22
白潮
ここ最近、湘南地域の海水の色は、これまで見た事が無い程、美しい。波打ち際から沖まで、薄い翡翠色に輝く海面は見慣れた海と違い、そこだけ遠くのリゾートをはめ込んだかのようだ。人が出歩かなくなり空気が綺麗になったとは聞いていたが、海水まで!と驚いていたら、これは白潮の影響だとマリーナのスタッフが教えて下さった。赤潮とは違う植物プランクトンの大増殖によるものだそうで、相模湾一帯と言う広範囲での白色化はかなり珍しいのだとか。こう聞くと、それまで南国の明るくトロンとした海に見えていたのが、極寒の凍てつく硬い海面に見えてしまう。また、エメラルドグリーンの色のイメージから海中は澄みきっているのかと思いきや、かなり白濁しているとのこと。シラスや鯵など、漁に影響が出てくるだろうか? 更に、神奈川県も近々緊急事態宣言が解除されそうな動きではあるが、この海水の色の話題を聞き、また観光客が増えてしまうのではと、少しブルーな気分。
2020-05-15
味醂干し
向田邦子さんの「海苔と卵と朝めし」食いしん坊エッセイ傑作選の中で、鰯の味醂干しについて書かれている。40年以上前、お祖母様が七輪で焼く味醂干しは、今や大衆魚とは言え無くなってしまったマイワシを使い丁寧に作られ、それはそれは美味だったとのこと。文字を目で追っているだけで、口の中にこっくりした甘さ、ねっとりした舌触り、白胡麻の香ばしさが広がり、久しく味醂干しを食べていないことに気がついた。子供の頃、鰯の味醂干しは週末の夕食、父の晩酌の肴としてよく出された。焼き立てからあっという間に固くなってしまい、幼い歯には食べにくかったものの、指先につく飴色のベタベタを舐めつつ、好んで頂いていた。エッセイには、向田さんがベランダで手作りされた奮闘ぶりも書かれている。真鰯と鯵はこれから旬となるので、新鮮なものが手に入ったら私も一度作ってみたいもの。
2020-05-08
観察
庭の木に取り付けていた巣箱に、四十雀が巣作りを始めたのが、3月中旬。それまでツガイでやって来ては周辺が安全かどうかを確認し、いよいよスウィートホームに決めると細い枝など運び込み、4月後半に雛がかえり、今はピィピィと餌をねだる鳴き声が賑やかに聞こえている。その声は日々大きくなり、成長度合いが伝わってきて嬉しい反面、飛び立つ日が近づく寂しさもある。ほぼ毎年、四十雀は巣箱に入るが、今年ほど彼らの動きを観察し、鳴き声に耳を傾けた事はない。自宅の窓からの風景、その窓枠の大きさの感動も、捨てたものではない。