2020-07-30
カラシ美味し
今年の梅雨はしぶとい。青空の出ない陽気は、人の心の気にも影響しそうだ。知り合いの気功の先生に聞いたところ、人の気の流れには、辛いものが効くそうで、特に和辛子を薦めて下さった。私の食生活の中で和芥子はあっても無くても程度なのだが、モヤモヤしがちなこのご時世、気の流れ良くスッキリいきたいなと、味付けを和芥子のみで色々と頂いてみた。すると意外な程、どんな食材にも合い、和芥子の懐の深さに驚いた。まず、野菜類は殆どが合う。芥子酢味噌や辛子漬けがあるのだから、まぁ当然かもしれない。野菜スティックや茹で野菜の幅が広がりそう。また、茹で卵にのせても美味。一番意外だったのは、冷奴。和芥子独特の苦味と辛味が、お豆腐の柔らかな甘さをシャキッとさせる。生姜が爽やかな乾いた風だとすると、辛子は亜熱帯的な風、と言った感じかな。どうぞ気の流れ良く健康な夏を…。
2020-07-21
向田家の食卓
向田邦子著「海苔と卵と朝めし」を読んだ。昭和初め頃の向田家の食卓風景を中心とした、美味しいエッセイ。この時代の日本の食事情は、どの家庭もが豊かとは言い難かったであろう。文中には、卵一個を兄妹で分け合ったり、甘いものへの強い憧れだったりと、今では有り余るものが貴重であった時代。しかし読んでいて、ひもじさは微塵もない。朝食の卵は産みたて、野菜は採れたて、海苔は一枚一枚炙りたて…、そして一食一食、一口一口を大切にされていた時間…。羨ましい程の豊かを感じた。そんな向田さんの食の思い出から、自ら主人として立たれていた小料理屋について、名物目指しての海外旅行の話しなどなど、こんなに食いしん坊さんでらしたのかと、驚くばかり。幾つか料理の作り方も紹介されているので、お休みに読んで、作って、如何でしょう?
2020-07-16
表示の意味
先日スーパーで買い物をしながら、「機能性表示」の食品が多いなと、あらためて思った。ヨーグルト、納豆、油、お菓子やパンに至るまで、様々な食品のパッケージに、健康に役立つとか体作りをサポートなどの文字が並ぶ。特に合成的なモノを使用しておらず、値段にそれ程差がなければ、私もつい機能性表示された方を選んでしまう事もある。ホンマかいなとの疑いの心はありながらも、機能性と言う文字がもつ「何だか身体に効きそう」と感じさせる力に惹き寄せられてしまうのだ。実際に体に良い効果があれば嬉しいが、むしろ心の支え的な部分の方が多いのでは? 病は気からと同時に、気持ちから入る健康もありそうに思う。 機能性を「気のせい」と置き替えて…。
2020-07-08
2020年夏の海
浜が、広い。この夏、神奈川県では海水浴場が開設されない為、海の家が建てられていない。この時期にあるべきものが無い風景は、パズルのピースが抜けてしまったみたいに感じられた。陽射しも風も砂の熱さも海水の温度も、みんな夏本番の準備は出来ているのに、海岸だけ、衣替えをしないまま、または、扇風機や網戸など夏の必需品を出し忘れたまま、夏を迎えてしまったかのよう。今年は、海の家からのノリの良い呼び込み声も聞こえず、多国籍状態となっていた食の香りもしてこないのかと思うと、それまでは鬱陶しく感じていた音や濃厚すぎる匂いが、どこか懐かしい。また、夏にだけ海に来られる人達は、どう感じられるだろう。もしかしたら、海の生き物達には喜ばしい夏となるのだろうか?