2022-05-27
ある朝の音
ある朝、最近越して来られた裏隣のお宅の一階の窓から、ジュワ~と油の弾ける音がした。どうやらそこがキッチンのようで、その日の暖かさから、窓を開けて朝食を作られているようだ。何を焼いているのかな、目玉焼きかしら?と想像していると、そのジュジュジュッパチパチと言う音に重なって、トランペットでのジャズナンバーが聞こえてきた。お気に入りのトランペッターのアルバムか、金管楽器の華やか音色が、1曲2曲と続く。外へ開け放った窓と、そこから広がる音だけで、そのご家族らしさと明るく光る朝の食卓が浮かぶ。今年は梅雨入りが早いかもと言われているが、晴れた朝は窓を開けて、沢山の幸せの音をつかみたい。
2022-05-19
からぎ茶
沖縄は国頭村に移住した友人から、土地の味が送られてきた。それは、からぎ茶。カラギとは、オキナワニッケイと言う沖縄に自生するシナモンの一種だそうで、お湯を注ぐと、少しツンっとした爽やかな香りが立つ。味はシナモンよりも、懐かしのニッキの方が近いように感じる。 飲みながら思い出したのが、かなり前に訪れた久米島の夕暮れ時の風。確か6月下旬。左右一面にサトウキビ畑が広がる道をブラブラと散歩していたその時、ザワワザワワザワワ~と、風がサトウキビの葉を揺らす音に包まれた。あの一瞬の、どこか切なく、何故か懐かしく、そして心地よい…、そんな複雑な感覚が今も忘れられない。そうか、あれはニッキのような風だったのだな。
2022-05-10
温かな子供の日
子供の日、見ず知らずの子供に希望を貰った。この日正午過ぎ、仕事を終えた途端、私はとても強い睡魔に襲われ、その敷地の駐車場の地べたに座り、ウツラウツラと眠ってしまった。そこは日があたり風を上手くよけ、温もったコンクリートが何とも心地良く、昼寝には格好の場所だったのだ。ほんのり眠りに入ったところで、パタパタと言う小さな可愛らしい足音が近づいてきた、と思ったら、右肩を控えめにポンポンとたたかれた。寝ぼけ眼で見ると、小学3,4年生くらいの女の子が2人立っていて、「だいじょうぶですか…?」と、不安そうに声をかけてくれた。道端でオバサンが寝ていたのを心配してくれたようで、このご時世でのこの行動は、さぞ勇気を必要としただろう。それだけに2人の気遣いがとても嬉しい。日本の未来は、きっと明るい。