2024-05-31
色落ちしない出来事
もうかなり前、今ほど厳しい規制が敷かれていなかった頃、ヘビ革を使ったバッグを地元の小さな洋服屋さんで見つけた。そこはカリフォルニアやオーストラリア、ハワイなどからの輸入物もあり、店全体から何となく海を感じられた。気になったバッグは小さなコロンとした巾着型で、色は鮮やかな青。表面のハード感と形の可愛さが上手くまとまり、惹かれたものの、きっと雨の日に持つと色落ちしてしまうだろうなと不安に思い、店員さんに聞いてみた。すると、真っ黒に日焼けしたその店員さんは、「これウミヘビだからぁ、水に強いと思うよ~」と軽い口調で答えられた。海の生き物だから、水に強い?いやそれは違うのでは? ヘビ自体がこの色ならば、色落ちはしないかもしれない。しかし、皮に着色しているのだから、海ヘビだろうと山ヘビだろうと、水に対する色落ちは何ら関係ないのでは? 海の生き物だから、水や雨に強いって…?そうなのだろうか? 結局、このバッグは買わずに終わったが、何年経っても雨の季節になると、あの時の店員さんの言葉が浮かぶ。色落ちしない出来事。
2024-05-21
下地作り
自室にあるいくつかの小さな家具に白いペンキを塗っている。初めて自分でペンキ塗りをするので、事前に、何でも御座れな大工の友人に、軽い気持ちでコツを聞いた。しかし、その友人の教えから、どうやら私はペンキ塗りをかなり甘くみていたと気がついた。多少のムラや凹凸が出来ても構わない、サクッと白く塗りたい、まぁ塗れるだろう、と思っていた。ところがプロはそれを許さない。まずは、しっかりとヤスリ、サンドペーパーをかけること。そのカスやホコリをきちんと取ること。それから塗りはああするこうすると基本から丁寧に教えてくれた。いきなりペンキを塗ろうとしていた私は、え?そこから?そんな細かく⁈ と狼狽えた。すると、「塗装はね、下地が一番大切。下地が7割、塗りは3割。大事なのは下地作り!」と言った。化粧みたいだね、と笑ったが、いやいや化粧だけではない。全ての物事の基本か。私は、いい加減な自分の心にもヤスリをかけたほうが良さそうだ。
2024-05-13
好物
近所のお惣菜屋さんに、新じゃがを使ったサラダがガラスの器にコンモリと盛られていた。新物ならでは、皮付きのまま大きく切られ、断面が瑞々しい。この後友人と会い、食べ物の話題になり、人の何倍も食べられるほどの大好物はある?と聞くと、「マッシュポテト。大きなボールいっぱい食べられる」と言うから驚いた。ポテトサラダでもフライドポテトでも煮っころがしでもなく、マッシュポテト⁈ 私はこれまでの人生で、マッシュポテトを10回も食べていないだろう。この友人はご両親のお仕事の為、メキシコで生まれ、その後アメリカ、フランスなどに暮らしていた帰国子女。そんな生い立ちも影響しているのだろうか。そこで試しにマッシュポテトで検索してみると、意外や、お肉の付け合わせに作られる方の何と多い事!中には主食とされている方もいらして、日本人の日常食生活にこんなに馴染んでいたのかと、初めて知った。皆様はここ最近、マッシュポテトを召し上がりましたか?