2025-08-26
声なき声
異常な暑さが続き野菜の生りが悪いようで、その為に旬のものでも価格が下がらない。困ったコマッタと嘆くのは人間ばかりでなく、むしろ当事者である野菜達も声なき声をあげている。ある朝胡瓜を切ったら、こんな悲しげな顔が現れた。「この蒸し暑さじゃ、いくら夏野菜ったってシャキッとなんてしてられまへんがな」、なんて愚痴が聞こえてきそうだ。本領発揮できず、さぞや悔しいだろう。異常気象を作った人間側として、申し訳ない気持ちになる。そして、卵。殻を割ると、ご覧のとおり。「鶏は夏バテしちゃうし、エサは獲れないし…アタシら黄身をピンッと立たせてなんかいられないわ!」と、やる気の無さと悲痛の声が伝わってくるようだ。野菜も果物も卵も豆も、みんな出来が悪ければ手にした人間から愚痴を聞かされる。でも育つ環境を悪くしているのはダレだ!と、彼らは声をあげているかもしれない。ほら、冷蔵庫から、お皿の上から、パックの中から、聞こえませんか…?

2025-08-22
アルバムの中の海
小学校3年生から中学2年生頃までほぼ毎年、夏に伊豆の今井浜へ母方の叔父叔母が連れて行ってくれた。いつも決まった旅館に4~5日間滞在し、朝から日暮れまでずっと海で遊んでいた。その頃の夏の伊豆は、海の家が何軒も並び、海水浴客も多く、浜にはあちらこちらにパラソルが立てられ、賑やかな声が響いていた。ところが、その叔父と叔母が昨年訪れた今井浜の写真をみせて貰い、その変わりように驚いた。私は10年以上も訪れていないので、てっきりあの頃と変わらず、昔ながらの海の家が幾つもあり、大勢の海水浴客が夏の海を楽しんでいるものだと思っていた。それが、ここ最近はこの写真のような寂しさだと言う。伊豆だぞ!今井浜だぞ!真夏だぞ!どうした⁈ とは言え、逆に、浜いっぱい都会的オシャレな海の家が並び、音楽が鳴り響くような海岸になっていたら…これまた切なくなっただろう。いつまでも思い出のアルバムが色褪せて欲しくないと願うのは、無理と言うものか。今は海の中で魚達が長閑に安心して泳いでいることだろう。

2025-08-15
サバイバル西瓜
冷蔵庫を開けてそこに西瓜があると、私はもうそれだけで幸せな気分になる。西瓜が冷えている…なんて素敵な夏、なぁんて素晴らしき人生!と、大袈裟でなく、私にとっての西瓜はそんな大きな存在。ところが、そのこよなく愛する西瓜に対して、大失態を仕出かしてしまった。小玉西瓜を買った後、暫く風通し良く日の当たらない廊下の隅に置いておいた。3~4日後、どこからか甘酸っぱい匂いが家の中に漂ってきた。その匂いのモトを辿っていくと…小玉西瓜の上部に亀裂が入り、真っ赤っかな果肉から汁が滴り落ちているではないか⁈ 西瓜が自然に割れた⁈ 台所へ運ぶと、果肉がジュクジュクになっていて、恐る恐る一口含むと、強烈に甘く少し苦みを感じる。ダメか…?しかし果物番長はヘコタレナイ。こんな機会は滅多にないぞと、大きな塊のまま、特大スプーンで食べ始めた。そして上部から5センチ程もほじくったところで、もうそこから下は安全果肉のようなので、これにてサバイバル西瓜は終了。冷蔵庫の奥へと閉まった。その後、私の体調は悪くもならず、むしろ西瓜を丸々抱えてタップリ食べられ大満足。とは言え、この暑さの中で食料品の保存には、くれぐれもお気をつけ下さいませ。
2025-08-07
高速マイムマイム
お盆前後は、各地で盆踊り大会が行われる。先日八丈島出身の友人が、末吉地区で開かれる体力勝負の盆踊り大会を教えてくれた。毎年8月のお盆の時期に、旧末吉小学校の校庭で行われるその盆踊りのメインは、「高速マイムマイム」。マイムマイムと言えばフォークダンスだが、それを盆踊り?それも高速って? 早速配信されている動画を見て、吹き出してしまった。八丈太鼓を含むバンドの演奏が、ワン!ツー!スリー!フォー!の掛け声で始まると、待ってましたと老若男女がステージ前に集まり、輪になって手を繋ぎ、曲に合わせ走る走る走る。ほとんど踊っていない。そして「ハイッハイッハイッハイッ!」と大声を発しながら片手を上げたり、手拍子をしたり、まるでロックコンサートみたいだ。バンドは曲が進むにつれどんどんとスピードを上げていく。演奏する方も踊る方(走る方?)も、必死だ。私も体力のあるうちに、八丈島末吉の高速マイムマイムを体験したい。