コーヒーでも水分補給はできますが、喉が乾いているときはお水を飲むようにしましょう
コーヒーだけを飲んでも、水分補給にならないという話を聞いたことがあるかもしれません。そのような話を聞くと、コーヒーだけだと体は脱水になっているのではないかと気になるでしょう。
実際にどうなのか、実験データやコーヒーに含まれるカフェインの作用から検証してみました。コーヒーが好きで水分補給になっているのか気になる方は、記事の内容を参考にしてください。
目次
コーヒーだけでも「水分補給」はできます
コーヒーを飲むだけでも、水分補給になります。その理由は、コーヒーの約98%が水分だからで、お水よりもコーヒーの味が好きなら水分補給にコーヒーを用いても大丈夫です。
コーヒーの利尿作用は気にするほどではない
以前までは、コーヒーには利尿作用があるため、水分補給に役立たないと言われていました。コーヒーから水分を摂取しても、それ以上尿として水分が出て行くと考えられていたからです。
近年ではコーヒーの主成分は約98%がお水で、残りの2%がコーヒーの味や香りのもととなる成分だとわかっています。コーヒーを飲めばほとんどが水分であるため、利尿作用により尿の量が増えたとしても、それ以上にコーヒーから水分を補給しています、
そのため、利尿作用の影響は心配するほどではありません。
コーヒーが水分補給になる実験データ
コーヒーの利尿作用と水分補給の関係性について調査したデータがあります。健常者50名を対象に、コーヒー200ミリリットル4杯を3日間摂取してもらい、体の水分量と尿量を調べました。
結果は、コーヒーとお水では同等の水分補給となっていました。このデータを参考にすると、コーヒーであっても喉が渇く前に意識的に飲むようにすれば、水分補給になっていると言えるでしょう。
喉が渇くのは体内の水分量が1~3%失われたときで、喉が渇く前にコーヒーをこまめに飲む方法がおすすめです。気温が高い季節では、アイスコーヒーを飲むのもいいでしょう。
人は生活レベルによって1日2.3リットル~3.5リットルほどの水分補給が推奨されていますが、水分単体での摂取は1.5リットルが目安です。コーヒーを1日3杯飲むだけでも、必要な水分量の約40%をカバーできることになります。
コーヒーがダメと言われる理由は「カフェインの摂取量」
水分補給にコーヒーがダメだと言われる理由は、コーヒーにカフェインが含まれているからです。カフェインはどのように体へ作用し、どのくらいの利尿作用があるか知っておくとよいでしょう。
水分の再吸収を防ぐ働き
体内の水分は腎臓機能でろ過し99%が再吸収され、不要な水分を尿として排出する仕組みです。コーヒーを飲むとカフェインの作用で水分の再吸収が低下し、膀胱に尿が溜まりやすくなる状態のことを利尿作用といいます。
つまりカフェインを摂取すれば、不要ではない水分まで尿として排出されてしまうのです。その仕組みは、カフェインにより交感神経が刺激され、膀胱に移動する尿の量が増えることから起きています。
膀胱に尿が溜まりやすくなれば、尿意を早く感じるようになり、トイレが近くなったと感じるでしょう。コーヒーを飲んだときはコーヒーの水分がそのまま尿になるわけではありませんが、カフェインの作用が続く以上は膀胱に尿が溜まりやすくなります。
カフェインの利尿作用は個人差があり
カフェインにより尿量が増える作用には個人差があります。一般的には、コーヒー4杯を飲むとカフェイン250~300ミリグラムを摂取することになり、尿量が増えたと感じるようです。
利尿作用に個人差がある理由は、定期的にカフェインを摂取するとカフェインに対する耐性ができるからです。毎日たくさんのコーヒーを飲む方は、ほとんどコーヒーを飲まない方と比べて利尿作用が少なくなります。
コーヒーのカフェインによる利尿作用で脱水の心配はありませんが、何度もトイレに行きたくなるデメリットに注意が必要です。トイレに行く頻度を少なくしたいときは、コーヒーを一度にたくさん飲むのではなく、時間をかけてゆっくり飲むようにしましょう。
ちなみにカフェインは、紅茶・煎茶などのお茶類にも含まれています。頭痛に対する医薬品にも含まれているため、カフェインの利尿作用を抑えたいなら総合的な量に注意してください。
水分補給は「1日1.2~1.5リットル」を目安にしましょう

コーヒーを飲んでも水分補給になりますが、発汗量が多いときや食事・飲み物からの水分補給量が少ないときは、別にお水を飲むことをおすすめします。お水の水分補給量は、次に紹介するように年齢・ライフスタイル・季節などによって変える必要があります。
水分補給量の目安
水分補給は食事からは約1リットル、食べ物がエネルギーに変わるときに約0.3リットル補給しているため、残りの1.2リットルを飲み物から摂取するようにします。ただし、1日に必要となる水分補給量は、体外へ出て行った水分量で変わるため注意しましょう。
成人が普通に生活しているだけでも、汗・尿・便として排出され、呼気や皮膚からの蒸発で1日2.5リットルの水分が代謝水として失われており、同等の水分補給が必要です。運動をして汗をかいたとき、高い気温で熱中症予防が必要なとき、高齢者で喉の渇きを感じにくいケースでは、普段より多くの量を意識して水分補給しなければなりません。
水分補給量は、食べ物や飲み物から摂取した水分量と、排出量のバランスを保つことが重要です。その人によって食事から得ている水分量や、その日によって水分排出量が異なるため、1.2リットルの水分摂取は目安としてください。
水分補給が大切な理由
人の体重の60~65%が水分で、体内から1%の水分が失われるだけでも喉が渇きます。2%の水分が失われると、めまいや吐き気が起きてくるでしょう。
10%の水分が失われると失神し、20%の水分がなくなると生命維持ができなくなります。人は2~3日水分を補給できなくなるだけで命に危険が及ぶため、こまめな水分補給がどれだけ大切なのかがわかるでしょう。
とくに体内でも、脳筋肉・腸・腎臓・肝臓は水分含有量が80%と高くなっており、水分が少なくなるとめまいや筋肉のけいれんが起こりやすくなります。内臓機能が低下して食欲減退が現れてくるため、注意が必要です。
汗をかいたときはスポーツドリンク
発熱や気温の上昇などで発汗量が多いときは、体への水分吸収量が多いスポーツドリンクを飲むようにしてください。経口補水液もおすすめで、塩分濃度0.1~0.2%の水分バランスの飲み物を飲むと、水分と電解質が体に吸収されやすくなります。
お水はもちろん、コーヒーにも塩分はほとんど含まれておらず、脱水が強いときの水分補給としては向いていません。
コーヒーは「1日4~5杯まで」がオススメです
水分補給としてコーヒーを飲む場合は、カフェイン摂取量に注意しましょう。日本では健康な成人が1日に飲めるカフェインの基準はありませんが、次に紹介する目安を基準としてください。
1日に飲むコーヒーの目安
コーヒーは水分補給としてや、コーヒーに含まれる栄養成分の摂取目的としておすすめです。過剰摂取で尿量が多くなり、タンニンの作用で鉄の吸収が抑えられる恐れがあることから、コーヒーは1日3杯が摂取量の目安となります。
欧州食品安全機関(EFSA)では、成人なら1日400ミリグラムのカフェイン摂取に抑えるべきだというデータを公表しているようです。これは、普通のコーヒーなら1日4~5杯の量に相当します。
1日3杯のコーヒーを目安とする理由は、緑茶・紅茶などのお茶類や、エナジードリンクなどの清涼飲料水にもカフェインが含まれているからです。総合的なカフェイン摂取量を考えると、1日3杯のコーヒーが妥当だと言えるでしょう。
寝る前はデカフェがおすすめ
夕方から寝る前にコーヒーを飲むなら、カフェインが含まれていないデカフェがおすすめです。これは、カフェインの覚醒作用で寝つきが悪くなる恐れや、利尿作用で就寝中にトイレが近くなるデメリットを避けるためです。
カフェインレスコーヒーでもカフェインがわずかに含まれていますが、睡眠への影響は少なくなります。どうしても通常のコーヒーを飲みたいときは、100ミリリットルのコーヒーを目安にするとカフェインを60ミリグラム程度に抑えられて、覚醒作用や利尿作用の影響を減らすことが可能です。
過剰摂取で注意が必要な症状
カフェインは中枢神経に働きかけ、交感神経が優位になりやすくなります。大量にカフェインを摂取すると、不眠・心拍数の増加・血圧の上昇・不整脈の恐れがあるため注意してください。
適量のカフェインを摂取すれば、眠気や疲労感を抑えて、運動機能を高めることができます。日中の活動時間にカフェインを摂取すれば興奮作用が役立ちますが、尿量が増えてトイレが近くならないよう摂取量を調節しましょう。
(まとめ)水分補給はコーヒーだけでも大丈夫?
コーヒーでも水分補給はできますが、喉が乾いているときはお水を飲むようにしましょう
コーヒーだけでも水分補給になりますが、喉が渇いているなら水分補給量が足りていない可能性があります。その人の食事量や季節によっても必要となる水分量は変わってくるため、コーヒーで脱水の症状が出るようなら、お水やスポーツドリンクなどからも水分補給をすることをおすすめします。