授乳中の場合、一般的に2,000~2,500mℓの水分が必要になると考えられてます
母乳は80%程度が水分と言われています。そのため赤ちゃんから吸われることで、母体の水分も多く奪われてしまいます。
その結果母体は水分不足の状態となり、この状態をそのままにしておくと、母乳をきちんと作り出すことができずに母乳の出が悪くなる恐れがあります。
授乳しているときには普段より多めの水分を飲むようにしましょう。
目次
授乳することで、体内は水分不足になりやすい状態です
母乳は血液からできており、80~90%程度は水分と言われています。そのため赤ちゃんが母乳を吸うことで、母体の水分は奪われていきます。
赤ちゃんは成長とともに飲む量が増えていきます。赤ちゃんによって飲む量は異なりますが、場合によっては1リットル近く飲むことがあります。
それほどの水分を奪われると、ママの体は水分が不足している状態になると言われています。そのため普段よりも多めの水分を補うようにすることが大切になってきます。
一般的に授乳中の場合2,000~2,500mℓ以上の水分が必要になると考えられてます。この量の水分を補うことで、ママの体は水分不足の状態を予防することに繋がります。
水分は食事でも取れるため、基本的には飲み水としては1,500~2,000mℓ程度飲むようにしましょう。また暑さや屋外での活動などによって必要な水分の量は変化していきます。
一度にたくさん飲むのではなく、こまめに分けて水分補給するようにしましょう。
また完全母乳かミルクとの混合かでも必要な量は違います。状態をみながら水分量を調整するように心がけましょう。
母乳に含まれる栄養素
母乳は赤ちゃんが健やかに育つために必要な栄養がほぼ完全に含まれています。三大栄養素であるタンパク質、脂質、炭水化物をはじめ、ビタミンやミネラル、ホルモンや酵素などがバランスよく含まれているからです。
母乳に含まれるタンパク質は1000種類以上と言われ、免疫系を活性化させるほか、脳の成長もサポートします。20種類以上のアミノ酸や、200種類以上のオリゴ糖と言われている複合糖質もバランスよく含まれています。
これらが、赤ちゃんの腸内環境を整える働きをしているのです。
さらに母乳には病原菌から赤ちゃんを守る抗体も含まれています。産後1週間以内に出る初乳には、赤ちゃんを守る免疫物質が含まれているのです。
そのおかげで、赤ちゃんの腸が健康に保たれると言われています。世界保健機構(WHO)が母乳育児を推奨するのも、このようなメリットがあるからです。
授乳中はママの食事には配慮が必要です。ママの食べたものが母乳の成分に影響するからです。
母乳の約90%は水分です。つまり、赤ちゃんが1日に1000mlの母乳を飲むと、ママの体から約900mlの水分が消費されたことになるということになります。
赤ちゃんが大きくなり母乳を飲む量が増えていくとともに、ママの身体からは水分が失われていきます。
ママの身体が水分不足になると便秘や血行不良を引き起こすことがあります。便秘になれば痔や肌荒れなどの原因になり、血行不良を起こせば高血圧や血栓などもできやすくなり病気の原因になることもあるでしょう。
ママが水分不足になると母乳が出にくくなることもあります。身体の水分が足りていないと母乳が詰まりやすくなります。
母乳が詰まれば乳腺炎のリスクも高まり、赤ちゃんへの栄養も不足してしまうことになります。このようなことを起こさないためにも、積極的に水分を摂るようにしましょう。
母乳として出ていく分も考えると、1日に2000ml程度の良質な水分補給が必要です。
お水を積極的に飲むほか、野菜ジュースやスープ、お味噌汁など温かいものを食べるようにして身体を冷やさないような水分補給をしましょう。
また、一気に水分を摂ろうとしても胃腸に負担がかかってしまいます。起床時やお風呂上がり、寝る前などコップ1杯程度をこまめに摂るようにしましょう。
母乳の元となる食事や水分にも気を付けましょう
母乳はママの血液が変化したもので、ママが食べた物、飲んだ物が母乳としてそのまま赤ちゃんの栄養源になります。良質な母乳を作るためには、食事にも気を遣いましょう。
授乳中に注意したい食べ物には次のようなものがあります。
メカジキや金目鯛など水銀を含む危険性のある魚には注意が必要です。
脂っこいものばかり食べていると母乳の中の脂肪分が増えて、乳管が詰まりやすくなることがあります。
授乳中はできるだけ薬は控えるようにしましょう。どうしても薬が必要な場合は医師に相談し、赤ちゃんには粉ミルクをあげるなどの方法を採りましょう。
授乳中に摂取したアルコールは母乳にも含まれます。最大でママの血中アルコール濃度と同じくらいになるとも言われています。
アルコールの摂取量が多いと母乳の量が減ったり、赤ちゃんの発達に影響を及ぼしたりすることもあるので注意が必要です。
カフェインを摂取しすぎると乳汁分泌が減るとも言われています。また、カフェインは赤ちゃんに悪影響を与える可能性があります。
赤ちゃんの落ち着きがなくなったり、寝つきが悪くなったり、汗を大量にかいたりすることもあるでしょう。生後1ヵ月はアルコールもカフェインも摂取しない方が望ましく、それ以降はコーヒー1~2杯程度なら問題ないと言われています。
カフェインの摂取量は1日300mgまでなら問題ないと言われていても、妊娠中と同じようにカフェインを含む飲み物全般に注意が必要です。カフェインが含まれているのはコーヒーだけでありません。
緑茶や紅茶、栄養ドリンクなどにも含まれています。カフェインにはリラックス効果が期待できるので、飲まないと落ち着かないと感じるママもいるかもしれません。
その場合はノンカフェインのハーブティーでリラックスしましょう。ほかにも麦茶、杜仲茶、タンポポ茶やルイボスティー、どくだみ茶などもノンカフェインで授乳中のママにおすすめです。
水分不足によって、母乳が出にくくなる恐れがあります
母体の水分不足によって、母体や赤ちゃんに多くの影響を及ぼします。
水分が足りないため、血液の流れが悪くなる恐れがあります。
そのため血液の粘性が高くなり、高血圧や動脈硬化、血管の老化などが引き起こされる可能性があると言われています。
血行が悪くなるため、母乳がスムーズに出なくなる場合があります。
母乳が詰まりやすくなることで、乳腺炎などによる高熱などを招くこともあるため注意が必要です。また母乳の出が悪くなることで、赤ちゃんの発育も低下することがあります。
赤ちゃんにとって母乳が栄養です。栄養がもらえなければ、赤ちゃんは大きく健康に育つことはできません。
体内の水分が不足すれば、便を柔らかくすることもできにくくなります。硬いままの便であれば、体外に排出されにくい状態です。
ムリに排便を行うと切れ痔などになる場合もあるため注意しましょう。また便が詰まることで、肌荒れなども置きやすくなると言われています。
血液の循環が悪くなることで下肢がむくみやすくなると言われています。さらに指先や足先が冷えるなどの症状も現れます。
ほかにも立ちくらみや吐き気など体調にさまざまな影響を及ぼすと考えられています。授乳中は、普段よりもきちんと補うように心がけましょう。
育児中に補う水分は温かいお水にしましょう
身体を冷やすような水分は、血液の循環を悪くさせる恐れがあります。そのためできれば温かい飲み物で補うようするのがおすすめです。
たとえば食事のときに温かいスープを1品加えるだけで、多くの水分や栄養を補うこともできるため一石二鳥と言われています。血液の循環をアップするための食事を意識して取るようにしてください。
また普段の水分補給も温かいお水を飲むようにしましょう。温かいお水をゆっくりと飲むことで、身体の中に水分をきちんと取り込むことができます。細かな水分補給は便秘解消にも効果があります。
授乳中にめまいなどを感じる場合には、授乳前に少量飲み、授乳中にもお水を飲むようにしてください。お水を飲む頻度を増やすことで、体内の水分不足になる状態を予防することができると言われています。
離乳食が軌道に乗ってくるまで、赤ちゃんのためにもお水をしっかり飲むようにしましょう。赤ちゃんの発育状態や母乳の出方など、なんらかの不安を感じた場合には、早めに医療機関を受診してください。
冷えた飲み物は身体を冷やしてしまいます。そのため、胃腸が冷えて代謝が悪くなり水分の排出機能が低下し、血行不良やむくみ、身体の冷えなどを引き起こしてしまうでしょう。
血行が悪くなると母乳がスムーズに出なくなるということもあります。母乳が足りないと赤ちゃんの成長にも悪影響を与えてしまいます。
身体を冷やさず、血液循環をよくするためにも温かい飲み物を飲むと同時に身体を冷やさないように生活することも大切です。授乳中は睡眠不足になりがちですが、睡眠不足は血行不良に繋がります。
赤ちゃんが眠りについたら自分も寝る、疲れたら10分程度でもよいので横になるなど、身体を休め、睡眠を取るようにしましょう。授乳服も腰回りまでカバーできるデザインなど、冷えずに授乳ができる服装を心がけることも大切です。
(まとめ)授乳中のママは1日どれくらいの水分が必要?
ママの体が水分不足になると血行不良を招き便秘や冷えを招くだけでなく、母乳がスムーズに出なくなることもあります。
母乳が出ないと赤ちゃんがすくすくと育っていきません。そうならないためにも、1日2000ml程度の水分補給を心がけましょう。
ただし、カフェイン入りのコーヒーなどを過剰に摂取すると赤ちゃんの寝つきが悪くなったり、落ち着きがなくなったりすることもあります。また、冷たい飲み物も身体を冷やす原因になるので注意しましょう。
水分はノンカフェインのドリンク、温かい飲み物を摂取して身体を冷やさないようにすることが大切です。母乳にはママの食べた物や飲んだ物が大きく影響します。
食事や飲み物には配慮しながら、しっかり水分補給を行いましょう。