白湯やお水を中心に、1日1.5~2リットルを目安に摂取しましょう
妊娠中は水分補給が重要だと聞いても、何を飲んでいいか迷ってしまうかもしれません。また、妊娠中はどのくらいの水分補給が必要なのかの知識も求められるでしょう。
この記事では、妊娠中の水分補給のポイントをまとめています。おすすめの飲み物や妊娠中に避けたい飲み物の情報、水分補給のコツを紹介していますので、水分補給で悩む方は参考にしてください。
目次
妊娠中の水分補給が「重要な理由」
普段生活していても体の水分は重要ですが、妊娠中は特に水分補給が大切になるのは理由があります。妊娠中に、ママが赤ちゃんのためいつも以上に水分補給が必要になる理由を紹介します。
羊水に多くの水分が必要
赤ちゃんの周囲は羊膜で覆われており、その内部は羊水という液体で満たされています。羊水には赤ちゃんを衝撃から守る役割があるため、妊娠中は十分な水分補給で羊水の量を保つ必要があります。
また、赤ちゃんは羊水を飲み込み、呼吸するための練習が必要です。妊娠週が進むと赤ちゃんは飲んだ羊水を尿として排出しますが、臍帯を通して排出されるため羊水を汚す心配はありません。
ただし、血流低下が起きると赤ちゃんが低酸素状態になり、便が出て羊水が汚れます。羊水が汚れた状態は、赤ちゃんが呼吸困難を引き起こす恐れがあるため、妊娠中は水分補給を心がけ血流低下を防がなければなりません。
赤ちゃんに栄養を届ける必要がある
妊娠中は母体の血液量が1.5倍になり、赤ちゃんに酸素や栄養を届けられるよう体が変化します。しかし、妊娠中に水分補給量が足りないと血液がドロドロになり、赤ちゃんに必要な栄養や酸素が届けにくくなるため注意が必要です。
母体の血流が悪い状態では、閉塞性動脈硬化症や血栓症が起こるリスクがあります。血管が詰まると母体に影響を及ぼすだけでなく、赤ちゃんへの栄養や酸素が行き届きにくくなり、赤ちゃんの発育に影響を及ぼしてしまいます。
このようなリスクを避けるため、妊娠中は水分補給を心がけましょう。トイレに行く回数を増やして老廃物の排出を促し、血液をサラサラにしなければなりません。
母体の水分不足を防ぐ
妊娠中は羊水に多くの水分が必要となり、基礎代謝が増えて発汗量も増えるため、母体は水分不足になりやすくなります。また、つわりで体内の水分が失われるので、普段と比べて水分不足になりやすいでしょう。
母体の水分が不足すると尿路感染症や血栓症のリスクがあるため、妊娠中は水分補給が求められます。また、妊娠の継続を促す黄体ホルモンが、腸の働きを弱めるため便秘になりやすくなります。便秘対策にも、水分量を増やす対策が重要です。
妊娠中の水分補給に「オススメの飲み物」
妊娠中に水分補給をする時は、赤ちゃんに影響が少ない飲み物や、つわりでも飲みやすいものがおすすめです。具体的にどんな飲み物が妊娠中に向いているのか紹介します。
炭酸水
つわりで吐き気がある時は、スカッとした飲み味の炭酸水がおすすめです。炭酸ジュースには糖分が多く含まれているので、砂糖を含まない炭酸水を選んでください。
お水に二酸化炭素を溶かしただけの炭酸水が飲みにくい時は、絞ったレモン汁を入れると飲みやすくなります。
白湯
白湯は砂糖が含まれていないため、カロリーオーバーの心配がありません。また、体を冷やさず飲めます。
体を温める飲み物は、妊娠中の冷えやむくみ対策にもおすすめです。
カフェインレスのお茶やコーヒー
妊娠中は、カフェインを含む飲み物の過剰摂取は避けたほうがいいでしょう。麦茶・ハーブティー・たんぽぽコーヒーはノンカフェインなので、妊娠中でも安心して飲めます。
また、コーヒーでもカフェインレスのものもあります。さまざまなメーカーから発売されていますので、お気に入りのコーヒーを見つけてみてください。
麦茶は暑い夏には冷たくして飲みたくなりますが、妊娠中は常温がおすすめです。ノンカフェインで温かいお茶を選びたい時は、ルイボスティー・そば茶なども活用してください。
牛乳
妊娠中は赤ちゃんのために多くのカルシウムが必要になるので、カルシウムが含まれている牛乳を飲むといいでしょう。カルシウムは、赤ちゃんの歯や骨の形成に役立ちます。
牛乳が苦手な方は、料理に牛乳を取り入れてカルシウムを補給しましょう。
お水
妊娠中は普段より多くの水分補給が必要になるため、お水を飲むのもおすすめです。お水なら砂糖・塩分摂取や高カロリーの心配がありません。
普段はお水をあまり飲まない方もいると思いますが、赤ちゃんのためにもお水を取り入れてみてください。1日に飲むお水の目安は1.5~2リットル程度で、体を冷やさないよう常温がおすすめです。
妊娠中の水分補給で「注意したい飲み物」
妊娠中は飲み過ぎに注意したい飲み物や、避けたい飲み物があります。それぞれの飲み物がなぜ妊娠中は注意が必要なのか、その理由とどのくらいの量なら許容範囲なのか紹介します。
カフェインが多い飲み物
カフェインが多い飲み物を過剰摂取すると、流産のリスクや、赤ちゃんが低体重になる恐れがあるため注意してください。コーヒーなら1日2杯程度までが許容範囲です。
エナジードリンクはカフェインの量が多いため、飲まないようにしましょう。また、緑茶・紅茶・コーラ・ココアにもカフェインが含まれているため、1日2杯を目安にしてください。
実は、チョコレート菓子にもカフェインが含まれています。気づかずにカフェインを摂取していることがあるので、トータルの摂取量に注意してください。
カフェインの量を気にしながら飲み物を選ぶことがストレスになるなら、カフェインレスコーヒーに置き換えたほうが余計な心配をしなくて済みます。
アルコール
妊娠中にアルコールを摂取すると、赤ちゃんに奇形が生じる胎児性アルコール症候群になる恐れがあります。少量のアルコールでも赤ちゃんの脳の発達に影響を及ぼす恐れがあるため、妊娠中はアルコールの摂取は控えてください。
甘酒にも、アルコールを含むものと含んでいないものがあります。アルコールが入っていない甘酒なら妊娠中に飲んでも大丈夫ですが、糖分が多いため飲み過ぎないようにしましょう。
栄養ドリンク
妊娠中は栄養をしっかり摂る必要がありますが、栄養ドリンクに頼るのはおすすめできません。栄養ドリンクの中にはアルコールやカフェインを含むものもあるので、安心面から避けるようにしましょう。
野菜ジュース
野菜ジュースはビタミン摂取に向いていますが、果糖や糖分が多いため、妊娠中は飲み過ぎに注意が必要です。糖分が多い飲み物は、妊娠糖尿病や肥満のリスクを高める恐れがあるので、飲み過ぎないようにしてください。
妊娠中は「1日1.5リットル~2リットル」の水分摂取を意識しよう
妊娠中は、1日1.5~2リットルの水分補給が目安になります。意識しないとこれだけの量を摂取できないことがあるので、飲むタイミングやコツを紹介します。
1日1.5~2リットルが目安
妊娠中は、食事から得る水分を除いて、1日1.5~2リットルの水分補給が必要になります。汗をかいた時や、つわりで水分が不足する時は、多めに飲むようにしましょう。
お水はたくさん飲んでOK
お水を飲むとむくむようなイメージがありますが、実は間違いです。体が水分不足になると、体は排尿量を減らして水分を溜め込もうとする働きが起きるため、水分摂取量を控えたほうがむくみやすくなります。
妊娠中にむくみが気になる時は、こまめに水分を補給して排尿量を増やし、体の代謝を高めるといいでしょう。お水の量を制限するより、塩分を控えるほうから始めてください。
食事から摂取する塩分量が多いと、血液の塩分量を一定に保つ働きにより、体に水分を溜め込んでしまいむくみます。医師に水分摂取量を控えるよう言われている場合以外は、お水をたくさん飲んでも問題ありません。
小分けに飲む方法がおすすめ
水分は一度にたくさん摂っても、尿量が増えるだけで体に吸収させられる量が限られています。妊婦は多くの水分が必要になるので、こまめに水分補給をして、効率よく体内に吸収させるようにしましょう。
就寝中は皮膚や呼気から水分が失われるので、寝る前にコップ1杯と、朝起きてすぐにコップ1杯の水分補給をするのがおすすめです。それ以外では、食事前後の1杯や、こまめに水分補給をするのも忘れないでください。
喉が渇いた時はすでに体が脱水になっていることがあるので、意識してこまめに水分補給をしましょう。家事の合間や仕事の合間など、切りのいいタイミングでの水分補給を心がけてみてください。
(まとめ)妊娠中の水分補給、選ぶべき飲み物や摂取量は?
白湯やお水を中心に、1日1.5~2リットルを目安に摂取しましょう
妊娠中はいつもより水分補給が大切なことを理解したら、こまめな水分補給を心がけてみてください。ただし、水分補給と言っても何でもいいわけではありません。
この記事で紹介した、妊娠中におすすめの飲み物を参考にするといいでしょう。普段の生活で飲み物に気を使っていなかった方も、妊娠中は母体や赤ちゃんの健康維持のため、適切な水分補給を心がけてください。