妊婦のむくみ解消・むくみ予防にはお水をきちんと飲むことが重要です

「足がだるい」「足がパンパンで苦しい」など、妊娠中のむくみを経験する妊婦さんは多いのではないでしょうか。
むくむからと言って水分を控えてしまう妊婦さんもいますが、それは実は逆効果です。体内の血流が悪くなり、むくみを助長させることになってしまいます。
少しでもむくみを軽減して、臨月を心身ともに健やかに過ごし、出産を安心して迎えましょう。
目次
妊婦のむくみによる体重増加の原因と症状
むくみの原因
妊娠中のむくみは、ホルモンバランスの乱れや血液が増えることなどが原因と考えられています。最近では妊娠中期頃から冷えによるむくみの症状を訴える妊婦さんが増えているようです。
一般的にむくみがひどくなる臨月は、赤ちゃんの成長のために血液量がさらに増加したり、大きくなった子宮が下りてきて下半身の血管を圧迫し、血流が悪くなったりすることが原因と考えられています。
妊娠後期のむくみは、妊娠高血圧症候群が原因の場合もあるため、とくに注意が必要となります。
むくみの症状
むくみとは、何らかの原因で皮膚の下に水分が溜まった状態のことを指します。足のすねを指で押すとなかなか戻らなかったり、まぶたの腫れや指輪がきついという自覚症状が出てくることもあるようです。
とくに下半身へのむくみを感じることが多いのは、重力の関係で下の方へ水分が溜まりやすいことが理由です。普段から同じ姿勢の多いデスクワークの方や、立ち仕事の多い妊婦さんがむくみやすいとも言われています。
妊娠中はホルモンバランスの変化でむくみやすい
妊娠すると、ホルモンバランスが変化することなどからむくみやすくなると言われています。
妊娠中のむくみは多くの方が生じるものなので大きな問題がないとされていますが、もし妊娠後期に急にむくみが生じた場合には病気の場合もあるため注意が必要です。
妊娠中は約8割の方にむくみが生じると言われています。妊娠すると妊娠を維持する働きがある女性ホルモンの「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌量が増加するため、体内に水分を溜め込みやすくなるでしょう。
女性ホルモンには、美人ホルモンと呼ばれている「エストロゲン」もあります。妊娠する前には、生理の周期に合わせてエストロゲンとプロゲステロンの量が交互に増えてホルモンバランスが変化しています。
ところが、妊娠するとホルモンの周期的な変化がなくなるため、手足などにむくみが生じたまま戻りにくくなるのです。
とくに赤ちゃんの成長が進んだ妊娠後期には、大きくなった子宮が下がって股関節周りの血管を圧迫すると言われています。血管が圧迫されて血流が悪くなり、心臓まで戻る血流の悪化が脚のむくみの原因になるでしょう。
妊娠後期のむくみには注意が必要
妊娠後期に急にむくみ始めたという場合には、ただのむくみではなく病気が原因のことがあります。気になるむくみが生じたときは注意しましょう。
妊娠高血圧症候群は、妊娠中毒症とも呼ばれている、妊娠後期に生じる病気です。妊娠高血圧症候群の場合には、血液中の水分が細胞に漏れだして全身にむくみが生じます。
むくみやすい下半身だけでなく、顔や上半身までむくみが目立つときには妊娠高血圧症候群が疑われるため、早めに診察を受けるようにしましょう。
症状が進行すると肺水腫になったり、腎臓など内臓にも問題が出たりすることがあります。
妊娠高血圧症候群は、主に妊娠後期から分娩後(妊娠20週~分娩後12週)の期間に高血圧になっている状態です。妊娠高血圧症候群には、以下のような方がなりやすいと言われています。
・元々高血圧の方
・糖尿病、腎臓病など持病のある方
・40歳以上の方
・多胎妊娠の方
・初産の方など
むくみに高血圧等の症状を伴う場合は、病気の心配があるため早めに医師に相談しましょう。
妊娠のむくみ解消には、水分補給と減塩がポイント
妊婦のむくみを対処するためには、食事や生活習慣が大切になると言われています。
むくみは、お水の飲み過ぎでなるわけではありません。反対に体内のお水が足りない場合、血流が悪くなりむくみやすくなります。
また妊娠中は血栓症になる可能性が高くなると言われています。むくみや血栓症を予防するためにも、意識的にお水を多く飲むようにしましょう。2リットル程度のお水を毎日、飲むように心がけてください。
ただし妊娠中は体重増加に注意が必要です。そのためカロリーのあるものは控えるようにしましょう。妊娠中の身体のためにも、飲みやすい軟水を選ぶようにしてください。
妊娠中は、とくに塩分に注意する必要があります。
妊婦の塩分摂取量は1日7~8g以下にするように推奨されています。成人であれば1日10g以下のため、いつもより減塩を心がけましょう。
塩分を多く摂ることで、妊娠中毒症のリスクを高めるため注意するようにしてください。
カリウムには、塩分を排出する役割があると言われています。つまりカリウムを多く摂ることで、むくみを改善するとされています。しかし腎臓の機能が低下している場合には、カリウムが排出されにくくなります。
むくみが気になる場合には、カリウムを摂る量など、検診の際に病院で医師に相談するようにしてください。
妊娠中の適度な運動もむくみ予防に効果的
ゆっくり休む
妊娠中はホルモンの変化などで情緒が不安定になる、妊娠前よりも疲れやすくなると言われています。そのため妊婦は無理をせずに、ゆっくり休むようにしてください。
長時間の立位作業やデスクワークなどを行うと、さらにむくみやすくなります。長時間の同一姿勢は避け、疲れたら横になるようにしましょう。
足の下にクッションを置いて足を高くして寝ること、着圧ソックスの活用も有効だと言われています。
無理のない軽い運動
むくみを解消するためには、適度に身体を動かすことも効果的と考えられています。足首をバタバタ動かす、足の指先をグーパーするなど行うようにしましょう。
ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で身体を動かし、出産に向けて体力をつけましょう。さらに身体が冷えることは、むくみにとって良くありません。お水は、必ず保温されたものを飲むようにしてください。
また身体を冷やすような食材も避けるようにしましょう。温野菜やスープなどを積極的に取り入れ、バランスのよい食生活を心がけるのがおすすめです。
(まとめ)妊婦のむくみによる体重増加の解消方法は?
妊娠中には、ホルモンバランスの乱れなどからむくみやすくなると言われています。妊娠中はとくに下半身がむくみやすいのですが、妊娠後期になってから顔まで広がる急なむくみが生じたときには妊娠高血圧症候群の恐れがあるため注意が必要です。
気になるむくみの予防や改善には塩分を控えた食生活に十分な水分摂取、適度な運動を行うといいでしょう。
- 公益社団法人 日本産科婦人科学会「妊娠高血圧症候群」
- 医療法人社団IMA 四谷・血管クリニック「足のむくみの原因は、水分の取りすぎではなく水分の◯◯だった」
- 厚生労働省「カリウム」
- 全国健康保険協会「【塩分】 おいしく減塩、正しく減塩」
- 名寄市立総合病院「妊婦中のストレッチ」