私たちは日々、喉の渇きを感じた時や気分転換したい時などにジュースやコーヒーといった様々な飲み物を口にしています。何を飲むかは個々の好みによるでしょう。
しかし、実は水分補給にならない飲み物もあります。人の体の約6割は水分で構成されており、生きていくためには水分は欠かせません。
せっかく水分を摂っているつもりでも、水分補給になっていなければ無駄になってしまいます。健康を保つためには、体にしっかり水分が吸収されるような飲み物を必要量飲むことが重要になります。
そこで、水分補給にならない飲み物や逆に水分補給に適した飲み物、1日に必要な水分量や水分補給のタイミングなどを紹介していくので、生活に取り入れてみましょう。
水分補給に「適さない飲み物」
水分を摂っているつもりでも、実は水分補給になっていない飲み物があります。水分不足に陥らないよう、水分補給にならない飲み物も知っておくことが大事です。
利尿作用があるアルコールやカフェイン入り飲料
アルコールは利尿作用があるので飲んでも体外に水分が排出されてしまい、結果的に水分不足になります。夏の暑い時期に冷たいビールを飲むと喉が潤されて、すっきりしたような気分になるかもしれません。
しかし、冷たいアルコールは排尿をコントロールする自律神経のバランスを乱すので、逆にトイレの回数が増え体内の水分が不足してしまう恐れがあります。
また、コーヒーや緑茶などのカフェインを含む飲み物も、水分補給ならない飲み物だとされています。カフェインにも利尿作用があるので、アルコール同様に体内の水分が尿として排出されてしまうためです。
糖分を摂りすぎてしまうジュースや炭酸飲料
ジュースは甘くて美味しいので、好んで飲むという方も多いでしょう。また炭酸飲料も、炭酸が喉を刺激してさっぱりとした爽快感があります。
しかし、ジュースや炭酸飲料には、糖分が多く含まれているので注意しなければなりません。中でも果汁100%のジュースや野菜ジュースなどは特に糖分の含有量が多いです。
ジュースを飲むと喉の渇きが解消されますが、体内に取り込んだ糖分を分解し、消費するために水分が使われます。結果的に体が水分不足となってしまうので、水分補給にならない飲み物と言えます。
また、糖分の摂りすぎは糖尿病のリスクも高まるので気を付けましょう。
消化不良を起こしやすい牛乳
牛乳はカルシウムが豊富で体にも良いので、たくさん飲むという方もいるでしょう。しかし、牛乳は体温を上昇させ、発汗をもたらす作用があります。
汗をかくと体内の水分が減少するので、牛乳を飲んでも水分補給にはなりません。また、牛乳をたくさん飲むと消化不良により、お腹を壊したり腹痛が起きたりすることがあります。
お腹が緩い方は特に気を付けたほうが良いでしょう。
日常的な水分補給に「オススメの飲み物」
水分補給するのに何を飲んだら体に良いのかわからないという方もいるでしょう。そこで、
日常的な水分補給でおすすめの飲み物を紹介していきます。
基本的にはお水が良い
普段の生活の中で、水分補給をするにはお水が適しているとされています。余分なものを含まず、においも味もないので飲みやすいのがお水です。
お水を飲むことで体内にお水が吸収されて血流をスムーズになり、内臓の動きも活発化します。お水には色々な種類がありますが、一番身近なのが水道水でしょう。
すぐに飲めるのでいつでも水分補給が可能です。地域によっては塩素のにおいがきついかもしれませんが、そういった場合は浄水器を付ければ多少緩和されます。
さらに、地下水を殺菌処理したのがミネラルウォーターです。硬度などによって味や飲みやすさが異なります。
また、天然水をRO膜というろ過装置を用いてろ過したRO水もおすすめです。家庭の浄水器よりも優れたろ過機能があるので、きれいで安全な水を安心して飲めるでしょう。
体を温める白湯
白湯は、お水を弱火でじっくり温め沸騰させて少し冷ましたものです。白湯は、体への吸収力が高く、体を温めて胃腸の動きを活発化させるので、お通じが良くなる効果も期待できます。
朝寝起きに飲むと、睡眠中に失った水分を補給でき、寝る前に飲むことで睡眠中の水分不足を防ぐことができます。
緑茶やほうじ茶などのお茶
水分補給でお水にプラスしてお茶を取り入れるのも良いでしょう。緑茶には殺菌作用があるカテキンが含まれており、免疫力アップにも効果的です。
ほうじ茶や紅茶も口当たりがまろやかで、気分をリフレッシュさせる飲み物としておすすめです。ただ、緑茶や紅茶は利尿作用があるカフェインが含まれているため、飲み過ぎには気を付けましょう。
スポーツの時や熱中症対策に「オススメの飲み物」
運動時は普段の水分補給と適した飲み物が違います。運動時は汗をたくさんかくので、より多くの水分を要します。では運動時と熱中症対策でおすすめの飲み物を見ていきましょう。
スポーツドリンク
スポーツをすると汗をたくさんかきます。汗には水分だけではなく、ミネラルやナトリウムなどの電解質が含まれるので、運動時に体内から排出されることになるでしょう。
スポーツドリンクには水分やミネラルなどの電解質が含まれており、失った分を効率よく補給することができます。またエネルギーとなる糖質も含まれているので、体力回復にも効果的です。
さらに糖分は水分の吸収を助ける作用もあるので、スピーディーに水分を取り込むことができます。
経口補水液
経口補水液はスポーツドリンクよりも、含有する塩分量が多いのが特徴です。人の体液の成分とほぼ同じになるようにミネラルなども含まれています。
高温多湿の環境の下にいると、大量の汗をかいて身体が熱くなり、めまいや吐き気、頭痛などの脱水症状が出ることがあります。熱中症は重症化すると命に関わるため、素早く失った水分と塩分を体内に吸収させる必要があるのです。
そのため、熱中症対策には経口補水液が適していると言えます。
梅干しと麦茶
梅干しや塩分タブレットなどは熱中症予防になるので、暑い日やスポーツ前に食べておくと良いでしょう。そして一緒にミネラル豊富な麦茶を飲むことでミネラルと水分不足を補うこともできるのでおすすめです。
ただし、塩分の過剰摂取は高血圧症などのリスクもあるので、発汗量が多い時だけ摂取するなど摂りすぎには気を付けましょう。
水分補給の「目安」と「タイミング」
水分補給の際は、効率的に不足することなく体内に水分を取り込むことが大事です。そこで、水分補給量の目安とベストなタイミングについて説明していくので、実践してみましょう。
1日に必要な水分量
1日に必要とする水分量は、体内から排出される水分量を目安として考えられています。成人では尿や便などの排泄物から約1.6リットル、呼吸時の息や皮膚からの汗で約0.9リットル、合計で1日約2.5リットルもの水分を失っています。
この1日で必要な水分量のうち、食事から摂取できる水分量は約1ℓ、食べ物を分解して得る水分量が約0.3リットルです。そのため、残りの約1.2リットルは飲み物から水分摂取する必要があります。
水分補給のタイミング
1日で約1.2リットルもの水分補給を1度に行うのは大変です。また、1回で大量の水分を摂取しても体に吸収しきれずに尿や汗として排出されてしまうので、1日数回に分けて飲む必要があります。
水分補給のタイミングとしては、朝の起床時と1日3回の食事の前、入浴前後と寝る前が良いとされています。就寝中や入浴中は知らないうちに体から水分が失われているため、脱水予防のためにもしっかりと水分補給をしておくことが大事です。
他にも仕事や勉強中、休憩時などにもこまめに水分を摂っておくと良いでしょう。
そして、体を動かすと発汗により大量の水分が奪われ、水分不足となりがちです。熱中症を予防するためにも、運動前後の水分補給も忘れないようにしましょう。
水分補給の注意点
水分補給時は1回でコップ1杯程度の水を飲むようにしましょう。1度にたくさん水を飲み過ぎると、血液が薄まり体内のナトリウム濃度が下がって水中毒を引き起こし、命の関わる場合もあるので注意が必要です。
また、喉が渇いたと感じる前に飲むのもポイントです。特に高齢者は喉の渇きを感じにくいので、水分補給のタイミングで飲むことを習慣づけるようにしましょう。
(まとめ)水分補給にならない飲み物はある?
水分補給といっても、何を飲んでも良いというわけではありません。利尿作用のあるアルコールやカフェイン飲料、糖分が多くジュースや炭酸飲料、消化不良を起こしやすい牛乳などは水分補給にならない飲み物だとされています。
水分補給は、余分なものを含まないお水や体を温める白湯、お茶が適しています。スポーツ時や気温が高い日の熱中症対策には、ミネラルなどを含むスポーツドリンクや経口補水液などを摂取するようにしましょう。
また、1日に必要な水分量のうち、約1.2リットルを飲料から摂る必要があります。一気に大量の水分を摂るのではなく、起床時や食前、入浴前後や就寝前などのタイミングでこまめに飲むようにしましょう。