食前食後になんとなく胃が重たくなる、不快感を覚えるという方も少なくないでしょう。それは、胃もたれの症状かもしれません。
胃もたれは食べ物が長時間胃の中に留まり、消化されない状態のことです。消化に欠かせない胃液や粘膜のバランスが崩れたり、胃の動きが鈍かったりすると、腸へ食べ物が送られずに胃もたれが起こるとされています。
そのような不快な胃もたれを解消してくれる飲み物があるので、紹介します。さらに、胃もたれの原因や控えたい飲み物、胃もたれの対処法、予防するための生活習慣の改善についても言及しているので見ていきましょう。
目次
胃もたれの原因は「胃の消化機能低下」や「加齢・ストレス」
胃もたれになるにはいくつかの原因が考えられます。どういったことが原因になるのか見ていきましょう。
暴飲暴食は消化不良となる
食事をすると、胃の中に食べ物が送られて消化酵素による消化が進み、小腸へと送られていきます。肉や揚げ物などの脂っこい食べ物は、消化に時間がかかるため、胃腸に負担をかけ、胃の機能低下を招きます。
長時間食べ物が胃の中に留まり続けると、胃に不快感が残りやすくなります。暴飲暴食によって大量の食べ物が胃の中に入ってくると消化不良を起こし、胃もたれの原因となるのです。
逆に空腹状態が続くと、胃酸により胃粘膜が荒れ、胃もたれが生じることもあります。
またアルコールは胃と小腸で吸収、肝臓で代謝されます。お酒の飲みすぎにより代謝しきれないと、アセトアルデヒドという毒性のある物質が残り、胃もたれや二日酔いの症状をもたらします。
加齢やストレス、妊娠
胃は、ぜん動運動により食べ物を腸へと送り出しています。しかし、加齢により胃の働きが鈍く、動きが遅くなります。
すると消化に時間を要するようになるため、胃もたれを起こすかもしれません。また、胃の働きは自律神経によってコントロールされています。
過度なストレスがかかると、自律神経が乱れて胃もたれを招きやすくなります。他にも、妊娠初期は女性ホルモンの分泌バランスが崩れやすいものです。
妊娠後期には大きくなった子宮が胃を圧迫し、胃もたれや吐き気などの症状が出やすくなります。
消化器疾患にかかっている
何らかの消化器疾患にかかっていると、腹痛や胃もたれ、吐き気などの症状が出ることもあります。例えば胃・十二指腸潰瘍や胃がん、機能性ディスペプシア、逆流性食道炎やピロリ菌感染などです。
こういった消化器疾患にかかると、胃の消化機能が低下して、食べ物をきちんと消化できない、もしくは消化までの時間が長くなり、胃もたれを起こしやすいと言われています。
胃もたれ解消に「オススメの飲み物」
胃もたれの症状を和らげるために、飲んだほうが良い飲み物があります。胃もたれが起きた時の対処法として覚えておきましょう。
胃酸を薄めるお水や白湯
お水は余分なものが含まれておらず、水分で胃酸を薄めて消化を促してくれるので、胃もたれ緩和につながります。ただ、冷たいお水は胃腸を冷やすのでかえって働きが鈍くなるでしょう。
そのため、常温のお水がおすすめです。さらに、お水を沸騰させてやや冷ました白湯も、胃腸を温めて消化機能を活発にしてくれるので、胃もたれ予防にも効果的です。
胃粘膜を守る牛乳や乳酸菌飲料
牛乳は胃酸で荒れた胃の粘膜を優しくリカバリーしてくれる作用があります。胃酸の刺激から胃を守り、消化を促して胃もたれを解消してくれると言われています。
ただし、冷たい牛乳は胃の機能低下を招くので、ホットミルクがおすすめです。乳酸菌飲料に含まれる乳酸菌も、胃の消化活動を助け、胃酸から胃粘膜を守ってくれます。
乳酸菌の中には、胃の粘膜で留まる種類や胃壁にくっつく性質のものもあります。
整腸作用のあるりんごジュース
りんごには整腸作用や乳酸菌の増殖を促す作用のある、セルロースやペクチンなどの栄養素が含まれています。さらに、クエン酸やリンゴ酸なども含まれ、食べ物の消化吸収を助ける作用があることが分かっています。
りんご果汁が含まれたりんごジュースを飲めば、胃もたれ予防や解消に効果的だと言えるでしょう。
ミネラル補給できる経口補水液
経口補水液は脱水症状に陥った時の飲料として知られていますが、実は胃もたれにも良いとされています。体内のミネラルバランスが乱れると食欲不振から胃もたれを招くこともあります。
経口補水液を摂取すると体内で不足したミネラルが補給されるため、胃もたれが和らぐ効果が期待できるのです。
胃もたれする時に「避けるべき飲み物」
胃もたれの際に飲まないほうが良い飲み物もあります。胃もたれを悪化させないためにも、避けるべき飲み物も覚えておきましょう。
胃の粘膜を傷つけるアルコール
胃もたれの時にアルコールを飲むと、症状を悪化させる可能性があります。アルコールは胃粘膜の働きを弱めるので、胃酸が直接胃壁を傷つけるので胃もたれがひどくなるでしょう。
また、腸のぜん動運動を妨げる作用があるため、食べ物の消化に時間がかかるようになります。胃もたれをしている時は、アルコールの摂取は控えることをおすすめします。
カフェインを含むお茶やコーヒー
緑茶や紅茶、コーヒーに含まれているのが、カフェインです。カフェインは、胃液を増やす性質があるとされています。
胃液が増えると、胃壁が刺激を受けて胃もたれがひどくなってしまいます。また、カフェインは少ないですが、食物繊維の多い玄米茶やハーブティーなども控えたほうが良いでしょう。
なぜなら、食物繊維は胃では消化されず、腸に送られるため胃の負担が大きくなるからです。ただし、揚げ物の食べ過ぎによる胃もたれの場合、濃い目のカフェイン入り飲料を少し飲むと胃液の分泌により消化が進むので、胃の不快感が解消されることがあります。
胃粘膜を刺激する炭酸飲料
胃もたれの際に炭酸入りのジュースや炭酸水を飲むと、シュワっとしたのど越しと爽快感があるので胃もスッキリすると思うかもしれません。しかし、実際には炭酸が胃の粘膜を刺激するので、胃もたれがなくなるどころか逆にひどくなってしまうため注意が必要です。
胃もたれする前に!「生活習慣改善のポイント」
胃もたれをした時に備えて対処法を紹介するので、知っておくと役立ちます。胃もたれを予防するためにも、生活習慣の改善を取り入れてみましょう。
食生活の改善
生活習慣の中でまず改善したいのが、食事です。消化に時間のかかる脂肪分や繊維の多い食べ物はできる限り控えましょう。
キムチやわさびなどの刺激物や味の濃い料理などは胃腸への負担も大きいため、胃もたれになる可能性があるので注意してください。
消化に良い軟飯やうどん、卵や豆腐などを使った食事がおすすめです。煮込んで柔らかくし、よく噛んでゆっくり時間をかけて食べましょう。
また、暴飲暴食にも気を付けなければなりません。大量の飲食物が胃に入ると消化不良を起こし、胃もたれを招きます。腹八分目を心がけてください。
適度な運動とストレス解消
運動不足に陥ると、胃腸の動きも鈍くなり消化機能が低下して胃もたれが起こりやすくなります。ウォーキングや水泳などの軽めの運動を生活に取り入れるのがおすすめです。
運動すると胃腸の動きも活発化してきます。またストレスがたまると、胃の動きをコントロールする自律神経が乱れ、胃の動きが悪くなります。
趣味や息抜きをする時間を作り、なるべくストレスをためないようにしましょう。
市販薬を服用する
胃もたれが起こったら、不快感を和らげるために市販の胃腸薬を服用するのも対処法の一つです。食べ過ぎなどには消化酵素を含む胃腸薬がおすすめです。
またよく胃もたれが起こるなら、胃粘膜をカバーして消化機能を高める健胃剤などが含まれる胃腸薬が適しています。ただ、胃腸薬を服用してもなかなか胃もたれが解消されない場合は、病院で医師の診察を受けましょう。
(まとめ)胃もたれを解消する飲み物は?
胃もたれは、暴飲暴食や加齢、ストレスによる消化機能の低下により起こるとされています。さらに、ピロリ菌感染などの消化器疾患が原因となることもあります。
胃もたれの症状を和らげるには、胃酸を薄めて胃を温めること、消化を促す常温のお水や白湯、胃粘膜を保護する牛乳や乳酸菌飲料などがおすすめです。他にも、整腸作用のある栄養素を含んだりんごジュース、経口補水液なども良いとされています。
逆に、胃液を増やすカフェイン入りの緑茶やコーヒー、胃粘膜の働きを弱めるアルコール、刺激が強い炭酸飲料などは控えましょう。胃もたれを予防するために生活習慣の改善も大事です。
消化に良い食べ物をゆっくりよく噛んで食べる、適度な運動とストレス解消などが効果的です。市販薬の服用も良いですが、症状が緩和されない時は、医師の診察を受けることをおすすめします。