カフェインの含まれるほうじ茶は、1日あたりの摂取量に注意しながら飲みましょう

緑茶に並び食後やリラックスタイムに欠かせない「ほうじ茶」ですが、どんなお茶でどんな効能があるお茶なのかご存じでしょうか。子どもからお年寄りまで、苦みが少なく飲みやすい味や香ばしい香りが好まれており、最近ではほうじ茶ラテとしても人気が高まってします。
ほうじ茶を飲み過ぎることによるデメリットがあるのかどうか、どのくらい飲むとその心配があるのかどうか、ほうじ茶のデメリット・メリットについて紹介します。
ほうじ茶とは「緑茶を焙じて作ったお茶」
まずは、ほうじ茶がどのような製法のお茶であるのか解説します。
ほうじ茶とは
茶葉を蒸して揉んだ後、乾燥させたものが「緑茶」呼ばれているお茶です。そこからさらに茶葉が茶色になるまで、コーヒーや麦茶のように焙煎させたものを「ほうじ茶」といいます。ほうじ茶とは「茶葉を焙じたお茶」つまり焙煎したお茶のことなのです。
緑茶とほうじ茶は同じ茶葉
緑茶とほうじ茶の原料は同じであり、製造工程が違うだけ。日本国内でよく飲まれている二つのお茶、この原料が同じことに驚く人も多いのではないでしょうか。
緑茶はすっきりとした飲み口で、香りも爽やかです。対してほうじ茶は香ばしく、苦みが少なめなのが特徴です。最近では、ほうじ茶スイーツやほうじ茶ラテがカフェやコンビニで発売されるほど人気があり、メジャーなものになっています。
ほうじ茶は、コーヒーなどにも含まれる「ピラジン類」「フラン類」が豊富で、香ばしい香りにはリラックス効果が期待できます。
ほうじ茶のデメリットは「カフェイン」や「カテキン」
ほうじ茶にはいくつかのデメリットがあります。ひとつずつ確認してみましょう。
デメリット1:カフェインが含まれている
コーヒーや紅茶、緑茶に比べると少量ではありますが、ほうじ茶にもカフェインは含まれています。カフェインは眠気を覚ましたり、集中力を高めたりする効果があるとされていま。
ただし摂取量によっては不眠や不整脈など、体によくない影響を与ることもあると言われています。そのため、1日中がぶがぶ飲んだり、寝る前に飲んだりと、カフェインの過剰摂取にならないように、飲む量には注意が必要です。
デメリット2:カテキンの少なさ
抗酸化作用や抗ウイルス作用など、体への影響が良いとされているのがポリフェノールの一種「カテキン」です。カテキンは緑茶には豊富に含まれていますが、同じ原料でも製造工程の違いから、ほうじ茶のカテキン含有量は緑茶に比べると少なくなっています。
風邪予防や美容のためにカテキンを意識して積極的に摂りたい人は、ほうじ茶よりもカテキン含有量の多い「緑茶」を飲むのがオススメです。
デメリット3:アクリルアミドが含まれている
茶葉を焙煎して作るほうじ茶ですが、焙煎の工程で生じる発がん性のある成分が「アクリルアミド」です。この成分は食物を120℃以上に加熱した際に生じると言われています。
フライドポテトやポテトチップスの焦げた部分を食べると癌になりやすい……という話を耳にしたことがあるかもしれません。 これは、油で揚げたじゃがいもの焦げた部分に「アクリルアミド」が多く含まれるということが理由です。
発がん性と聞くと少し怖いと感じてしまうかもしれません。ただし、大量に摂取し続けることでのリスクであり、毎日数杯のほうじ茶を飲む程度であれば、過剰に心配する必要はないでしょう。
参考サイト:農林水産省「アクリルアミドが含まれている食品」
ほうじ茶のメリットは「リラックス効果」や「美肌効果」
ほうじ茶には、デメリットだけではなく、もちろん多くのメリットがあります。
メリット1:リラックス効果
焙煎して製造されるほうじ茶には、その香ばしい香り成分に「ピラジン」が含まれています。ピラジンはコーヒーやピーマンなどにも含まれ、脳をリラックスさせる効果が期待できます。
ほうじ茶を飲むと、ほっとする・心が穏やかになると感じるのは、なんとなくではなく実はこの成分のおかげ。さらにピラジンには血行をよくする働きもあるとされており、ほうじ茶を飲むとリラックスしたり体が温まる気がしたりするのはこの成分が理由だったのです。
また、もう一つのリラックス成分「テアニン」も含まれ、「ピラジン」との相乗効果によって、心身のリラックス効果が高まるとされています。
メリット2:美肌効果
ほうじ茶に含まれるポリフェノールの一種、カテキンの代表的な働きのひとつが抗酸化作用です。抗酸化作用とは、活性酸素から細胞を守る役割のこと。この働きによって体内の酸化を防ぐことで、老化をくい止めるアンチエイジング効果が期待できます。
また、ほうじ茶に含まれるビタミンCは熱に強く、その量はなんとレモンの3~5倍。お肌の張りや弾力を支えることで有名な「コラーゲン」。このコラーゲンを作りだす酵素はビタミンCのサポートで作られるため、ほうじ茶を飲むことが美肌効果をもたらすと言われています。
メリット3:健康効果
血行が悪くなることで起こる冷え性。冷え性の改善にもほうじ茶がオススメです。リラックス効果もある「ピラジン」は、血管を拡張し血流をよくする効果もあるため、ほうじ茶を飲むことで、冷え性の改善が期待できます。
さらに「カテキン」と「テアニン」にも血管を拡張する働きがあり、高血圧や生活習慣病の予防としても取り入れられています。また、細胞の活性化を助けるビタミンEも豊富に含まれるため、老化防止や加齢による疾患の予防にもほうじ茶は一役買ってくれると言えるでしょう。
ほうじ茶は「1日1リットル程度」を目安にして
美容や健康のために言っても、どれだけ飲んでもよいということではありません。ほうじ茶にはカフェインが含まれていることを忘れないようにしてください。
ほうじ茶の摂取量の目安
単純にカフェインの1日の摂取量から換算すると、成人の場合は400mgが目安とされているので、ほうじ茶茶であれば2リットルまでとなります。ただし、他の飲食物からもカフェインを摂取すると考えると、ほうじ茶だけであれば1リットル程度にとどめておくのがよいでしょう。
とくに、妊婦や授乳中の女性はカフェインの取り過ぎは禁物です。胎児や乳児に与える可能性があるため、妊娠中や授乳中の女性もほうじ茶の飲み過ぎには気をつけ、1日1リットル程度までを目安にしてください。子どもが摂取する場合も、子どもの体重や成長に合わせて飲まれる量を調整するようにしましょう。
水分補給はお水がオススメ
緑茶やほうじ茶には利尿作用があるため、普段の水分補給のメインとして考えるのは適さないかもしれません。せっかく水分補給としてお茶を飲んでも、利尿作用により体内から水分が出ていってしまうことになるためです。
そのため水分補給としては、基本的には常温以上のお水を飲むようにしましょう。喉が渇いたと思ってからでは遅いので、コップ1杯程度のお水をこまめに摂取することで、脱水症状を防ぐことにもつながります。
- 農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
- 農林水産省「食品に含まれているアクリルアミド」
- 厚生労働省「抗酸化物質」
- 丸八製茶場「香りを生む焙煎」
- 飛鳥薬局「茶カテキン 効果・作用」