水分の取りすぎで下痢になるのか気になる、という方もいるかもしれません。水分補給のため1日に飲むお水の量が多い時に限って、下痢になる場合もあるでしょう。
この記事では、水分の取りすぎでなぜ下痢が起こるのか、その原因を解説しています。また、似たような症状の水中毒との違いや下痢になった時の対処法、適切な水分補給方法なども紹介します。
普段から水分摂取量が多く下痢しやすい方は、参考にしてみてください。
下痢の原因は「水あたりの可能性」
水を飲んで下痢になった時は、水あたりの可能性があります。下痢・軟便・嘔吐・腹痛・倦怠感などの症状が現れた時は、水あたりを疑ってください。
水あたりとは、体質に合わない水を飲んだ時や、細菌に汚染された時に起きる症状のことです。また、お水の過剰摂取や、冷たいお水の飲み過ぎでも水あたりは起こります。
硬水を飲んだ時
日本のお水は軟水ですが、ヨーロッパなどのお水は硬水でミネラルを多く含んでおり胃腸がびっくりして下痢を起こすことがあります。海外旅行先で硬水を飲む時や、普段の生活でも硬水のミネラルウォーターを飲む時は注意してください。
汚染された水を飲んだ時
衛生状態の悪い水道水やミネラルウォーターを飲んだ時も、水あたりは起こります。原因菌は、大腸菌・ノロウイルス・寄生虫などによる感染です。
下水道の整備が進んでいない発展途上国への海外旅行の際に注意が必要です。
冷たいお水の飲み過ぎ
冷たいお水を飲み過ぎると、一時的に胃腸機能が低下して、水あたりとなることがあります。しかし、症状は一時的ですぐに改善する場合が多いとされています。
お水の飲み過ぎ
お水の過剰摂取で胃腸に負担がかかり、便中の水分が増えて下痢を起こす場合があります。1日に排出する便の量は200g以下ですが、お水の過剰摂取で腸に運ばれる水分量が増えると、結果として下痢が起こるとされています。
水中毒の症状のひとつにも「下痢」があります
水分の取りすぎで下痢が起きた時は、水中毒に注意してください。水中毒とは、体内のミネラルバランスが悪くなり、血液中のナトリウムが低下して「低ナトリウム血症」となった状態です。
低ナトリウム血症とは?
低ナトリウム血症になる恐れがあるのは、1日に10リットル以上のお水を飲む場合です。海外では、7.5リットルのお水を飲んだ女性や、14リットルのお水を飲んだ男性の死亡例が確認されています。
低ナトリウム血症の症状
水中毒になると、めまい・頭痛・多尿・下痢などが起こります。重症化すると、意識障害・錯乱・呼吸困難などの症状が現れ、死に至る場合もあるため注意が必要です。
低ナトリウム血症の対策
1日に10リットル以上のお水を飲む機会は日常生活ではありませんが、熱中症の脱水症状を予防するため、過剰に水分補給をする時は注意してください。一度にお水を飲んでも水分が体に吸収される量は限られており、多尿や下痢で水分が排出されます。
ミネラルを含んだ経口補水をこまめに飲む対策がおすすめです。
水中毒と水分の取りすぎによる下痢の違い
水分の取りすぎによる下痢は、一時的に胃腸機能が低下して下痢になったものです。しかし、水中毒は血液中のナトリウム濃度が低下した状態をいいます。
ミネラルは体の機能を正常する必要な栄養素のため、重症化すると命の危険性が伴う違いがあります。水中毒の症状のひとつに下痢がありますが、水中毒は下痢以外の症状も現れるのが特徴です。
下痢になった時の「対処法」
水分の取りすぎで下痢になった時の対処法をいくつか紹介します。下痢だからといって水分補給が不要なわけではないため、水分補給をしながら下記の対策を試してください。
ミネラルを含んだ水分補給
下痢により水分とミネラルが排出されるため、ミネラルを含んだ水分補給を心がけましょう。塩分と糖分の電解質を含んだスポーツドリンクの飲用がおすすめです。
胃腸を休ませる
下痢が起きている時は、胃腸がびっくりした状態です。胃腸の負担を和らげるため、食事は消化吸収の良い食べ物を選び、胃腸に刺激のかかる食べ物は避けてください。
例えば、味噌汁・スープ・おかゆ・煮込みうどんなどは胃腸に負担がかかりません。逆に胃腸へ負担をかけてしまうのは、辛い物・炭酸飲料やアルコール・油の多い食事・繊維質の多い野菜などです。
体を温める
下痢が起きたら、お腹を温めるのも有効な対処法です。カイロでお腹を温める、入浴や温かい飲み物を飲むといった対策ができます。
市販薬や病院の治療
急に下痢が起きた時に備えて、市販の下痢止め薬を携帯しておくと安心です。ただし、下痢が1ヶ月以上続く時や発熱や体重の減少など下痢以外の症状がある時は、早めに医療機関の受診を検討してください。
下痢を予防するための「水分摂取」と「生活習慣」
下痢を起こしやすい方は、普段の生活での水分補給や生活習慣に注意して、下痢予防をしましょう。適切な水分補給の方法や、生活習慣の工夫について紹介します。
適切な水分補給方法
成人が1日に失う水分量は約2.5リットルです。尿・便・汗として水分が失われており、呼気や皮膚呼吸でも水分蒸発があるため、この程度の水分摂取量が求められます。
食事から得る水分と体内で栄養がエネルギーに変わる際に生成される水分もあるため、お水を飲む量は約1.2リットルが適量とされています。ただし、運動量や気温によっても必要になるお水の量は変わるので、発汗量が多ければ水分補給量も増やしてください。
お水は一度に大量に飲んでも全てが吸収されないため、2時間おきくらいにコップ1杯程度のお水を飲むようにしましょう。あわせて、起床時・食事中・入浴前・就寝前にもコップ1杯のお水を飲んでください。
暴飲暴食を避ける
冷たい飲み物の飲み過ぎや刺激がある食事や脂っこい食べ物の食べ過ぎで、胃腸を刺激すると下痢しやすくなります。下痢を起こしやすい方はアルコールを控え、早食いのような胃腸に刺激を与える食べ方も避けましょう。
また、果物や豆類に含まれる糖類は水分を腸にため込む性質があるため、下痢しやすい方は避けたい食べ物です。コーヒーも胃腸に刺激を与えやすいため、飲み過ぎに注意しましょう。
体を冷やさない
冷たい飲み物や食べ物の取りすぎで体が冷えると、消化機能が低下し下痢が起こる場合があります。温かい飲み物や食べ物を取るようにして、腹部を冷やさないよう腹巻や寝具を工夫するのがおすすめです。
また、ストレスによる自律神経の乱れは、慢性的な下痢の原因にもなります。適度な休息を取るようにし、趣味でストレスを発散することも大切です。
食べ物の細菌やウイルス感染を防ぐ
下痢が起きる原因のひとつが、食品に含まれる細菌やウイルスの影響です。食品の衛生環境を保つようにし、食器や調理器具に付着する病原菌にも注意してください。
(まとめ)水分を取りすぎると下痢になるの?
水分の取りすぎは、下痢が起きる原因のひとつです。一度に大量にお水を飲んだ時や冷たいお水を飲み過ぎると、下痢が起きる場合があります。
ただし、下痢が起きるのは、水分の取りすぎだけが原因ではありません。食生活や生活習慣の乱れなど原因は複数あるため、下痢が起きやすい方は総合的な下痢予防を心がけてください。
普段の生活でお水を飲む時は、一度に冷たいお水を大量に飲むのは止めましょう。また、水分の取りすぎで下痢が起きている時は、胃腸に休めて適度な水分補給を心がけてください。