生姜湯には冷え性の改善や免疫力アップなど、さまざまな効果が期待できます
ぴりっとした辛みが特徴の生姜は、料理のスパイスとして使われる機会も多い食材です。料理以外にも、寒い時期に生姜湯を飲むという方もいるでしょう。
生姜湯には体に良いとされるさまざまな効果、効能があると言われています。この記事では、生姜湯とは何か・生姜に含まれる成分や期待される効果・効能、おすすめの生姜湯アレンジレシピまで紹介しています。
さらに、1日のうちで生姜湯を飲むベストタイミングや飲む回数など、詳しく解説していくので参考にしてみてください。
生姜湯(しょうが湯)とは
健康に嬉しい効果を期待できる生姜湯とは、どのような飲み物でしょうか。生姜湯の基本的な知識と近年注目され始めている成分を解説します。
生姜湯は昔から受け継がれる知恵
生姜湯とは、簡単にいうと生姜をお湯に入れて作った飲み物です。いわゆるおばあちゃんの知恵袋として、風邪の引き始めなど具合が悪くなったときに昔から飲まれています。
子供の体調が悪いと感じた親が、家庭で生姜湯を作って飲ませる、薬いらずの飲み物が生姜湯です。中国から伝わったといわれる生姜はもともと薬用として栽培されており、江戸時代以降に食用になりました。
生姜は辛さがあるため、幼い頃は生姜湯に飲みづらさを感じた方もいるでしょう。子供の頃の苦手意識が残り、大人になっても「生姜湯は飲みにくい」と思う方もいるかもしれません。
辛味成分に効果が期待され始めている
生姜湯が薬いらずといわれる理由は、生姜の辛味成分に期待される効果です。辛味成分には体を内側から温める血行促進作用があり、生姜湯を飲むと冷え性などを改善できる効果が期待され注目を集めています。
自宅で簡単に作って飲める生姜湯で、小さな体の不調を改善し健康を維持しましょう。
生姜に含まれる成分と効果・効能
ちょっとした体調不良の改善や健康的な状態を維持するために、生姜湯を活用しましょう。生姜湯に使う生姜に含まれる成分ごとに、期待される効果・効能をご説明します。
辛味成分ジンゲロール(ギンゲロール)とは
ジンゲロールは生姜特有の成分で、刺激的な辛さを作り出しています。生姜を加熱せずそのままの状態で食べると、ジンゲロールは末梢血管を開いて血流をよくするといわれています。
血行が促進されると体が温まると思いがちですが、この場合熱を体外へ逃がす働きで、同時に汗をかくため熱を放出し最終的に体を冷やしてしまうのです。
風邪の引き始めなどの体調不良は、体を冷やすよりも温めたほうが良いため、生姜は生のままとらず加熱して使うことが重要です。
生姜湯のように生姜を温めると、ジンゲロールがショウガオールへ変化し、冷え性改善や便秘改善などさまざまな効果・効能を期待できます。
手を加えていない生姜にもショウガオールは存在しますが、ジンゲロールの10分の1程度なので、加熱してジンゲロールをショウガオールへ変化させることがおすすめです。
ショウガオールに期待される効果・効能
ジンゲロールを加熱して変化したショウガオールは、体を温める働きを始め、以下の働きがあるといわれています。
- 血行を改善し体を芯からじっくりと温める
- 活性酸素の除去に役立ちがん予防につながる
- 痛みを強めるプロスタグランジンの働きを弱める
- 腸内ガスを緩和し下痢や便秘の改善に役立つ
- 免疫力を高め、風邪を引きにくくする
- ダイエットしやすくする
特に体の冷えで悩む方は生姜湯を飲む習慣をつけると、改善が期待できます。なぜなら冷えが原因の可能性がある、血行不良・頭痛・生理痛・下痢・便秘などは、体を芯から温めると改善を期待できるからです。
生姜湯を飲む習慣づけができると、体を温かい状態に維持しやすく、不調を緩和する可能性があります。
香り成分シネオールとは
生姜だけでなく、ローズマリーやローリエなどのハーブにも含まれる香り成分で、調理の際は肉や魚のくさみ消しに役立ちます。生姜は毒性のないハーブなので、好きな方は好きなだけ食べても構わないというほど、安全性の高い食品です。
シネオールに期待される効果・効能
胃腸の働きを助けるため、吐き気を抑え、消化吸収や食欲増進に役立つといわれています。殺菌作用や抗ウイルス作用、解毒作用、消炎作用も期待されており、食中毒を予防する成分です。
生姜に含まれる食物繊維
食物繊維は食べ物に含まれ、人の体の消化酵素では消化しきれないものです。水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維があり、生姜100gに不溶性食物繊維が1.9g、水溶性食物繊維が0.2g含まれています。
食物繊維に期待される効果・効能
不溶性食物繊維は、水分を含むと腸内で膨らみ、腸を刺激するので便通改善に役立ちます。水溶性食物繊維は腸内環境を整えたり、食後の血糖値の急激な上昇を抑えるほか、コレステロールの吸収も抑えるといわれています。
低カロリーで肥満防止にもつながり、糖尿病や高血圧改善にも役立つ成分です。
生姜湯の作り方
体に嬉しいあらゆる効果・効能が期待できる生姜湯を、自宅で簡単に作って毎日の健康に役立てましょう。手軽にできる生姜湯の作り方を2つご紹介します。
魔法瓶に入れて置いておく
生姜を薄くスライスして魔法瓶へ入れたあと、80℃以上のお湯を注いでふたを閉め、3時間放置するだけです。ジンゲオールは皮の近くに多く含まれるので、生姜は皮ごとスライスします。
ジンゲロールがショウガオールに変化するには80℃以上の加熱が必要なため、ぬるま湯ではなく熱いお湯を使いましょう。魔法瓶の中には保冷専用タイプがありますが、熱いお湯を入れると破損する恐れがあるため、必ず保温タイプの魔法瓶で生姜湯を作りましょう。
魔法瓶には入れた飲み物の温度を保つ機能があるため、生姜湯を作る前に水洗いした場合、水の温度を保とうとします。確実に80℃以上の生姜湯を作るには、事前に熱いお湯で内部を温めておきます。
温水と冷水の両方を使えるウォーターサーバーがあると、すぐに熱いお湯を用意できるので、魔法瓶を使った生姜湯作りが手軽です。
お鍋で煮込む
生姜を薄くスライスしたもの100gとお水1リットルを鍋に入れて、火にかけます。沸騰したら弱火にし、そのまま煮込み続けましょう。80℃以上で3時間加熱がショウガオールを変化させる最適条件といわれるので、できれば3時間以上煮込みます。
煮込む間に水分が蒸発して減るため、ときどきお水を足して調整しましょう。できあがった生姜湯を飲むだけでなく、湯通しした生姜を取り出してオーブンで加熱し乾燥させると、ショウガオールの働きがさらに高まるといわれています。
乾燥生姜の簡単な作り方
ショウガオールを増やすには、スライスした生姜を丸一日天日干しするだけです。皮ごと薄く切って、風通しの良い場所で干し続けましょう。
ショウガオールをより増やしたいときは、スライスしたあと30分程度中火で蒸してから干すことをおすすめします。
生姜湯をアレンジして飲みやすく
生姜とお湯だけで作る生姜湯に飲みにくさを感じる場合は、はちみつなどをプラスすると飲みやすくなります。辛さが苦手な子供も飲みやすい、はちみつやゆずを使った生姜湯レシピを3つご紹介します。
疲労回復にも役立つ!はちみつ生姜湯
用意するものは、はちみつ15g・生姜汁4ml・熱湯150mlです。生姜汁の作り方は、生姜をよく洗って皮のついたまま、おろし金ですりおろします。
すりおろした生姜をスプーンなどで押さえながら、別の容器へ汁だけを移すと生姜汁の完成です。マグカップなど耐熱容器にはちみつと熱湯を入れてよく溶かし、生姜汁を加えて再び混ぜて完成です。
甘さをしっかり楽しみたい方は、はちみつを多めにし、生姜の辛さを控えめにしたい方は生姜汁の量を減らすなど、お好みで調整して入れましょう。はちみつに含まれるグルコースは短時間でエネルギーに変換できるため、疲労回復に役立ちます。
ビタミンC豊富!ゆず茶生姜湯
用意するものは、ゆず茶大さじ1・生姜汁4ml・熱湯150ml・密閉できる瓶です。はちみつ生姜湯のはちみつをゆず茶に変えたもので、ゆず茶を熱湯で溶かしたあと生姜汁と混ぜてできます。
ゆず茶は、ジャムや粉末、ティーバッグなどさまざまなタイプの市販品があり、使いやすいものを用意しましょう。添加物が気になる方のために、ゆず茶を手作りする方法もご紹介します。
生のゆずを使った方法なので、ビタミンCがとれて風味の良い生姜湯を楽しめます。
ゆず茶も手作り
用意するものは、お好みの量のゆず、ゆずの皮と果汁と同じ量のはちみつ、または砂糖です。初めにゆずを50℃のお湯に浸して皮をこすり洗いし、小皿などの重しをゆずの上に置き、数分待ちます。
その後ゆずを冷水に取って冷まし、ふきんやキッチンペーパーで水分を拭き取ります。次にゆずをそれぞれくし形に4等分し、断面の白い筋を取り除きましょう。
種を取り除いたあと果汁を絞り、実と皮を分けてから皮をできるだけ細く千切りにします。皮と果汁を混ぜ合わせ、これと同量のはちみつまたは砂糖を入れて、皮全体に絡むまで混ぜます。
瓶に詰めて冷蔵庫で保存し、1日1回かきまぜる、または瓶を振って中身を動かし、1~2週間寝かせましょう。はちみつや砂糖が溶けて水分量が増え、全体にゆずの色と香りがひろがれば完成です。
ミルク生姜湯
生姜汁ではなくすりおろした生姜そのものを使ったレシピです。用意するものは、はちみつ大さじ1・すりおろし生姜小さじ1・牛乳100~140ml・お水50~70mlです。
鍋でお水が沸騰したら弱火にし、牛乳を加えてフツフツとしたら耐熱コップへ注ぎます。すりおろし生姜とはちみつを加えてよく混ぜると完成です。
牛乳は分離を防ぐために沸騰を避けて火加減を調整し、レモンは牛乳の成分が固まるため避けましょう。
生姜湯を飲むタイミング
体に良いとされている生姜湯ですが、1日のうちのいつ、どの位飲めば良いか分からないという方もいるかもしれません。そこで、1日の飲む回数やタイミングについて紹介します。
生姜湯を飲む回数
生姜湯を飲む回数に関しては特に決まりはありません。しかし、体に良いとされる生姜でも1日の摂取量には注意が必要です。
なぜなら、摂りすぎると胃腸を過度に刺激するので、胸焼けや下痢などの症状が出る場合もあるからです。目安としては生の生姜は10g程度になります。
生姜パウダーだと2g位です。そうなるとコップに1~2杯程度が適量なので、1日に1、2回飲むと良いでしょう。
生姜湯を飲むタイミング
生姜は体を温める作用があるので、体温が下がりやすい寝る前や起床後に飲むのがおすすめです。朝飲むと胃腸に程よい刺激が加わり動きだすので、朝食をしっかりとっても消化不良になりにくいと言えます。
生姜湯は寒さ対策にもなるため、寒い日の外出前後や夏の冷房で体が冷えた時などにも良いでしょう。また、運動前に飲むことで脂肪燃焼効果も期待できます。
風邪のひき始めや酔い止めが必要な時も
生姜湯には殺菌作用や消炎、鎮痛解熱作用などがあります。咳や喉の痛み、頭痛や微熱など風邪の症状がある時に飲むと、症状を和らげてくれるでしょう。
また、吐き気を緩和する作用も期待できます。乗り物酔いや二日酔いなどでつらい時にもおすすめです。
生姜湯の副作用?飲み過ぎはNG?
ここまでたくさんのメリットを紹介してきた生姜湯ですが、生姜自体に副作用があることも忘れてはいけません。まず、身体に良いからといっても摂り過ぎはNGです。
1日の摂取量は、生の生姜なら10g、成分が凝縮された乾燥生姜なら1~2g程度が目安です。摂りすぎると胸焼けの他、胃腸に刺激を与えることで、腹痛やお腹を下してしまう可能性があります。
さらにアレルギーの原因になることも。もちろん体質や個人差はありますが、一度にたくさん摂取するよりも、毎日継続していくことを目標にしましょう。
(まとめ)生姜湯の効果とは?作り方・アレンジレシピも紹介!
生姜湯には冷え性の改善や免疫力アップなど、さまざまな効果が期待できます
生姜湯を飲むと、冷えが原因の不調に対して体を温め改善することが期待できます。毎日の生活で生姜湯を飲む習慣をつけ、気になる頭痛・下痢・便秘などの緩和をめざしましょう。
生姜湯はすりおろした生姜や薄切りにした生姜にお湯を注ぐだけで簡単にできます。お好みではちみつやゆず茶を加えると甘さがついて飲みやすくなります。熱いお湯の準備が大変と感じる方には、お湯も出るウォーターサーバーの導入がおすすめです。
生姜は胃腸への刺激が強いので、1日1~2杯が生姜湯の適量です。体が冷えやすい寝起きや寝る前などに飲みましょう。