水道水で白湯を作るときには、15分~20分程度の煮沸をするようにしましょう

水道水から白湯を作るときに、気をつけるべきことにはどんなことがあるのでしょう。水道水には、微量ながら不純物が含まれていたり消毒後の残留塩素の臭いがしたりするため、健康に良い白湯がきちんと作れるかどうかが不安な場合もあるかもしれません。
白湯は、お水をしばらく煮沸し続けて不純物を取り除いて作ります。不純物の除去のために煮沸を行いますが、この煮沸のときに正しい方法で作らないと、逆に不純物が増加する場合もあると言われています。
白湯を正しく作るにはどのようにするといいのか、白湯を作る際の注意点には何があるかを解説します。
目次
水道水には、厳格な基準が定められています
水道水は、安全に飲めるように浄水処理を行ったお水です。雑菌やウイルスを塩素などで消毒しているため、残留塩素の臭いが気になる方も多いかもしれません。
水道水にはどんな成分が含まれているのか、安全に飲むことができるのかといった、水道水の特徴について説明していきます。
水道水の安全性
水道水は国で定めた安全基準を満たしているお水なので、基本的にはそのまま毎日飲んでいても体に害はありません。日本の水道水は水道法第4条の「51項目の水質基準」や「26項目の水質管理目標設定項目」によって水質基準が保たれている、世界でも安全性が高いお水です。
水道水内の主な不純物とされるトリハロメタンや残留塩素は、上記の基準値内に抑えられています。大人が飲む際には健康に問題がありませんが、赤ちゃんに飲ませる場合にはこれらの不純物が体の負担になる可能性もあるので注意が必要です。
水道水に含まれている不純物
水道水に含まれている主な不純物には、消毒に使われた残留塩素や、塩素殺菌時に発生するトリハロメタンなどがあります。トリハロメタンとは「クロロホルム・ブロモジクロロメタン・ジブロモクロロメタン・ブロモホルム」の4種類の成分です。
トリハロメタンは発がん性がある物質とされていますが、基準値以内の場合には毎日飲んでいても特に問題はありません。
残留塩素とトリハロメタンの基準値
- 残留塩素 1mg/1L以下
- トリハロメタン 0.1mg/1L以下
日本の残留塩素とトリハロメタンの基準値は上記の通りです。ところが、WHO(世界保健機関)の飲料水ガイドラインでは、残留塩素の濃度が「5mg/1L以下」だと安全とされています。
残留塩素は世界的な基準よりもさらに厳しく定められているため安全と言ますが、全く健康に害がないわけではありません。特に赤ちゃんに飲ませるときや充分に安心できるお水を飲みたいというときには、白湯にして不純物の除去を行うといいでしょう。
塩素やトリハロメタンは煮沸をすることで除去できます
水道水に含まれている塩素やトリハロメタンの除去には、水道水を煮沸させる方法があります。しっかり煮沸を行うと塩素やトリハロメタンを除去できるのですが、煮沸の方法によってはトリハロメタンが増加してしまう場合があるので、注意して行ってください。
正しい煮沸の方法
塩素やトリハロメタンを除去するには、水道水をやかんや鍋に入れて火にかけ、沸騰してからやかんなどのふたを外して10分以上煮沸を続ける必要があります。時間をかけてしっかり煮沸を続けることではじめて、塩素とトリハロメタンが除去されるのです。
トリハロメタンに注意
水道水に含まれているトリハロメタンは、水道水の温度が上がると増加する性質を持っています。水道水がお湯になり、沸騰する直前には含有量が最大で3.6倍程に増加すると言われているため、沸騰してから5分以内に火を止めてしまうと、かえって水道水の中の不純物が増えてしまいます。
水道水中に含まれている不純物の量は各自治体によって異なるので、煮沸時間は長めにした方が安全なお水作りができるでしょう。
白湯とお湯の違い
白湯は、上記の通り時間をかけて煮沸を行い、不純物を取り除いたお水です。煮沸によって残留塩素の臭いが消え、がんの原因にもなると言われているトリハロメタンが除去されます。
たいしてお湯の場合は煮沸を行っていないため、お湯の沸かし方によってはトリハロメタンが増加した状態のこともあるかもしれません。見た目では分かりませんが、沸かし方や煮沸方法によって、お湯になるか白湯を作れるかが異なるので、気をつけて作ってください。
また、湯冷ましと呼ばれているお水は、白湯やお湯を常温まで冷ましたものです。
煮沸した水道水は早めに飲み切るようにしましょう
煮沸した水道水からは消毒後の残留塩素が除去されるため、特有のカルキ臭さがなくなって飲みやすくなります。不純物がなくなった水道水は、赤ちゃんでも安全に飲めるようになるなどのメリットもあります。
しかし、煮沸後の水道水には長期保存に適さないなどのデメリットもあるので注意が必要です。
煮沸後のお水は長期保存に適さない
水道水を煮沸したあとのお水は、殺菌作用のある塩素が除去されています。不純物を含まないので人の体に良いお水として安心して毎日飲むことができますが、お水の中に消毒できる物質が含まれていないため、雑菌が繁殖しやすいという特徴があります。
残留塩素が入っている水道水の場合、冷暗所では3日程度、冷蔵庫で10日程度は保存が可能です。ところが、塩素を含まないお水の場合には保存がきかないため、早めに飲み切らなければなりません。
一度に飲み切れなかったお水はすぐに冷蔵庫に入れ、雑菌が繁殖しないうちに早めに飲むようにしてください。
煮沸で除去できない物質
煮沸では、水道水に含まれている塩素やトリハロメタンが除去されますが、なかには煮沸で除去できない物質もあります。煮沸で除去できない物質は、アルミニウムや鉛、鉄、黒路酢酸類などです。
アルミニウムは健康体であれば飲んでも体外に排出されやすいですが、アルツハイマー型認知症の原因になると考えられるという仮説もあるため、除去をした方が安心です。鉛は発がん性物質として知られ、便秘、貧血、神経障害などの原因になるとされています。
鉛はほかにも乳幼児の脳に悪影響を与える恐れもある危険な物質と言われています。現在ではほとんどみられませんが、古い建物では鉛製の水道管を使っている場合もあるので、場合によっては水道水に鉛が含まれていることがあるかもしれません。
黒路酢酸とは、水の中の塩素と有機物から作られることがある物質です。水道水の中にはごく微量にしか存在しませんが、農薬の成分としても使われ人体に害がある成分なので、気になる場合には除去を考えることもおすすめです。
煮沸後にも残ってしまう物質は、適した浄水器を設置すれば除去できるでしょう。ウォーターサーバーを利用することでも、不純物を含まないお水を飲むことができます。
白湯を簡単に飲むにはウォーターサーバーがおすすめです
白湯を作る方法には、煮沸して作る方法や電子レンジで作る方法、ウォーターサーバーで作る方法などさまざまな作り方があります。水道水から白湯を作る場合は煮沸が必要ですが、ミネラルウォーターの場合には電子レンジの使用が可能で、ウォーターサーバーを使うとより簡単に白湯を作ることができます。
煮沸により白湯を作る方法
- 水道水やミネラルウォーターをやかんに入れて火にかけます
- 沸騰したら、やかんのふたを外して10分以上煮沸させてください
- 約50℃に冷まします
電子レンジで白湯を作る方法
- 150~200mlのミネラルウォーターをカップに入れてください
- 500Wの電子レンジで約2分温めます
- 約50℃まで冷まします
ウォーターサーバーで白湯を作る方法
ウォーターサーバーの温水の温度は約80℃です。ウォーターサーバーで白湯を作る場合には、コップに温水を入れてから冷水を加え、50℃程度まで温度を下げたら完成です。
楽に白湯を作りたいというときには、ウォーターサーバーを使うと白湯を簡単に作ることができます。ウォーターサーバーのお湯、お水には残留塩素などが含まれていないため、赤ちゃんのミルク作りにもおすすめです。
赤ちゃんが大きくなってからは、離乳食作りや麦茶作り、飲用などに長い期間安心して利用できます。
(まとめ)「白湯」を水道水で作るときの作り方・注意点は?
水道水で白湯を作るときには、15分~20分程度の煮沸をするようにしましょう
水道水には、微量ではあっても有毒性のある塩素やトリハロメタンが含まれています。不純物の量は少ないので、健康な大人にはそれほど害がないとされていますが、小さな乳幼児に水道水をそのまま飲ませるのはよくありません。
赤ちゃんのためや健康のために水道水から白湯を作るときには、水道水に含まれている塩素やトリハロメタンを除去するために充分な煮沸をする必要があると言われています。塩素を含まないミネラルウォーターやウォーターサーバーなら、面倒な煮沸をせずに白湯を作ることができます。
煮沸の必要もなく白湯を簡単に作ることができ、安心して飲めるお水を利用したいというときには、ウォーターサーバーの利用がおすすめです。
<参考文献>
- 千葉県「トリハロメタンについて」
- 東京都水道局「塩素消毒」
- 東京都水道局「残留塩素の低減化」
- 西宮市「災害に備えて、水を保存したいが、飲み水としてどのくらいの期間保存できますか。」
- 厚生労働省「基32 21002 アルミニウム 1.物質特定情報」



