「鉱水」はポンプなどで汲み上げられた地下水のうち、ミネラルを多く含むお水のことです


「水」は私たちの生活に欠かせない存在です。しかし、ただの「水」とひと言で言っても、その性質や特徴はさまざまです。特に「鉱水」は、自然のミネラルを豊富に含んだ水として注目されています。

本記事では、鉱水の定義、硬水や軟水との違い、それぞれの特徴やメリットについて解説します。

鉱水(こうすい)とは?

鉱水とは、鉱山などから採取されるお水で、ミネラルを多く含むのが特徴です。ポンプなどを使って地下水をくみ上げています。

名前が同じお水に「硬水(こうすい)」がありますが、鉱水とは異なるものです。硬水はカルシウムとマグネシウムの含有量によるお水の硬さを示すのに対し、鉱水はミネラルが多い地下水をポンプ等で採取したお水を指します。

ポンプ等で採取するということは、自ら湧き出していないということです。そのため鉱水は地下にあり、くみ出す必要があります。

鉱水は簡単に説明するとミネラルが多い地下水ですが、さらに軟水と硬水の2種類に分けられており、それぞれミネラル含有量が異なります。鉱水の中でも軟水を選ぶとミネラルの含有量が少なく、硬水を選ぶとミネラルを多く摂取可能です。

鉱水に含まれるミネラルは、カルシウムやマグネシウムなどで、これらは体に欠かせない必須ミネラルの一つです。普段飲むお水を鉱水にかえると、水分補給と同時にミネラルを摂取できます。

また、鉱水と似た言葉に「鉱泉水」もあります。鉱泉水もミネラルを含むため鉱水の一種ですが、自然に湧き出しており、水温が25度未満となるのが特徴です。

ミネラルウォータの原水は7種類に分けられる

厚生労働省が定める、ミネラルウォーター品質表示ガイドラインには、原材料名の「水」に括弧をつけて、原水の種類を記載する決まりがあります。原水は、鉱水以外にも全部で7種類あるので、それぞれの特徴を紹介します。

鉱水

鉱水は、ポンプ等で取水した地下水で、ミネラルが含まれています。「ポンプ等で取水」とあるため、湧き水・鉱泉水・温泉水のように自然に湧き出すお水とは区別されます。

浅井戸水

浅井戸水とは、浅井戸からポンプ等で取水した地下水のことです。明確な深さの定義はありませんが、約30mにある「不圧帯水層」と呼ばれる水層からくみ上げているのが特徴です。

地下水は「帯水層」と呼ばれる地層に蓄積しており、不圧帯水層は、お水を通しやすい地層と通しにくい地層に挟まれています。地表からの浸透水や周辺の井戸からも影響を受けやすく、地震などの影響で水質が変化しやすいのが特徴です。

そのため、飲用には適しておらず、農業用や園芸用などに使用されることが多い地下水です。

深井戸水

深井戸水とは、深井戸からポンプ等で取水した地下水のことです。浅井戸よりさらに深い「被圧帯水層」と呼ばれる水層からくみ上げているのが特徴です。

被圧帯水層は、粘土層・シルト層・岩盤などに挟まれています。自然にろ過されたお水で不純物が少ないため、飲料水として適しており、井戸水を飲料水とする場合は深井戸水を用います。

また、深い場所にあるため、ミネラルを豊富に含んでいるのも特徴の一つです。

湧水

湧き水とは、自然に湧き出している地下水のことです。ミネラルが含まれる湧き水は、さらに「鉱泉水」や「温泉水」に分類されます。

また、湧き水はどの地形から湧き出しているのかによって、さらに7つのタイプに分類されます。湧き水と聞くときれいなお水を想像しがちですが、水道水のように殺菌されておらず、病原菌を含む可能性があるため、そのまま飲む際には注意が必要です。

一方で、名水として知られる湧き水も全国各地に多数あります。名水の多くは自然の山々にろ過されており、汚染物質の少なさが特徴です。

名水と知られる湧き水であっても、煮沸やろ過などで病原菌を除去してから飲むことが推奨されます。

鉱泉水

自然に湧き出す地下水のうち、水温が25度未満で、かつミネラルが含まれているものは「鉱泉水」に分類されます。鉱泉水も湧き水の一種であり、大まかな特徴は湧き水と似ています。

同じ湧き水でも、水温が25度未満でミネラルが含まれているものは鉱泉水に分類され、豊富なミネラルを含む点が特徴です。名水と呼ばれる鉱泉水もあり、パッケージ化されて販売されている鉱泉水もあります。

温泉水

自然に湧き出す地下水のうち、水温が25度以上で、ミネラルが含まれているものは「温泉水」に分類されます。温泉法第2条に規定されており、飲用可能なものを指します。

温泉地では飲むことができる場合があり、これも温泉水の一つです。ヨーロッパでは古くから健康のために温泉水を飲む習慣があります。

また、温泉地に行かなくても飲めるよう、パッケージ化された温泉水もあります。ミネラルウォーターとして販売されており、原材料の表示に「温泉水」と記載され、飲みやすい味わいに調整したものがほとんどです。

伏流水

伏流水とは、上下を不透水層に挟まれた透水層が、河川と交わるときに透水層内に生じる流水のことです。川や湖など、地表を流れるお水が地中にしみこみ、砂や土にろ過されたもので、地表を流れるお水と比べて不純物が少ない点が特徴です。

地域の水道水の原水では、伏流水を使用しているところがあります。河川のお水と比べて伏流水は自然にろ過されているため、水道水にする際には消毒するだけで利用可能です。

硬水と軟水との違いは、お水の硬度

鉱水という大きな分類の中に、硬水と軟水があります。同じ鉱水でも、お水の硬度の違いによって、硬水と軟水に分類されています。

硬度とは、ミネラルの含有量のことです。主に、カルシウムとマグネシウムの含有量によって区別されています。

硬水と軟水どちらに分類されるかは、地層や地形などの環境要因によって変わります。石灰岩層を通過する地下水はカルシウムが豊富になるため多くの場合で硬水になりますが、火山灰層を通過する地下水はミネラルが少なく軟水になることが多いです。

そのため、鉱水でも硬水を選べば多くのミネラルが摂取でき、軟水を選べばまろやかな口当たりのお水を楽しむことができます。お水を選ぶ目的や飲みやすさによって、鉱水の硬水と軟水を使い分けると良いでしょう。

硬水と軟水、それぞれの基準と特徴

硬水と軟水は、硬度の違いで区別されています。それぞれの基準と、どのような特徴があるのか詳しくみていきましょう。

軟水

WHOの基準によると、60mg/L未満が軟水で、120mg/L未満が中軟水だとされています。一方で日本の基準では、100mg/L未満が軟水です。

日本は火山灰の地層が多いため、水道水や湧き水の多くは軟水です。火山灰層は地中にしみこんだお水が早く流れる性質があり、地中のミネラルが溶け出しにくい特徴があります。

また、日本は平地が少なく山が多いことから、山にしみこんだ雨水が早く流れるため、地下水にミネラルが溶け出す時間がありません。軟水は口当たりが柔らかく、飲みやすい特徴があります。

硬水

WHOの基準によると、120~180 mg/L未満が硬水とされています。180 mg/L以上の場合は、非常な硬水に分類されます。

日本の硬水の基準は、100mg/L以上です。100mg/L以上の硬水の地域は日本では非常にまれで、熊谷市・木更津市・沖縄本土では水道水や湧き水が硬水となっています。

硬水は、石灰層が多いヨーロッパでよくみられるタイプです。ヨーロッパは平地が多く、地下水がゆっくりと流れる影響もあるため、ミネラルが豊富な硬水ができあがります。

日本人が硬水を飲むと、口当たりが硬いと感じるかもしれません。硬水は濃い味わいと独特の舌触りが特徴であり、カルシウム由来の渋み成分が多く含まれています。

軟水と硬水、それぞれのメリット

鉱水で選べる硬水と軟水は、それぞれメリットが存在します。どちらのお水を選ぶか迷ったら、メリットから比較してみましょう。

軟水のメリット

軟水を選ぶメリットは、飲みやすいことです。日本の水道水の多くは軟水で、多くの人が味の軽い軟水を飲み慣れているため、軟水を飲むと飲みやすいと感じます。

軟水が多い日本では、食材の味を引き立てる和食料理が発達しました。軟水で昆布や鰹節を煮ると、硬水と比べてうまみ成分であるアミノ酸が多く溶け出すことが知られています。

軟水を選ぶと良いのは、和食やお茶が多い食生活の場合です。コーヒーの味を引き出しやすいため、コーヒー好きの方にも軟水がおすすめです。

ヨーロッパ地方でもイギリスでは軟水が多く、紅茶文化が発達しました。硬水で紅茶を入れると風味を損ないやすいのですが、軟水では渋み成分のタンニンを引き出し、美味しい紅茶を飲むことができます。

また、軟水は肌や髪に負担をかけにくいため、シャワーや洗髪にも適しています。日本で湯船に浸かる文化が発展したのも、ミネラルが少ない軟水が多いからです。

軟水は石鹸が泡立ちやすいという特徴もあります。硬水が多いヨーロッパでは石鹸が泡立ちにくいため合成洗剤が発展しましたが、日本では石鹸が使いやすいというメリットがあります。

ヨーロッパでは硬水の影響があるため入浴の回数を減らしがちですが、日本なら軟水のため毎日入浴したい方におすすめです。

硬水のメリット

硬水は、ミネラル補給に適したお水です。カルシウムやマグネシウムを多く含むため、食事から補う量が少ない場合には硬水をおすすめします。

カルシウムやマグネシウムは、骨や歯の健康を支えるミネラルです。筋肉の機能維持にも役立っていますが、日本人は不足しやすい傾向があります。

また、硬水に含まれるマグネシウムは、腸を刺激する作用があるため、便秘の改善効果が期待できます。便秘の原因の一つに水分不足が挙げられますが、マグネシウムは体内で吸収されにくく水分を集める性質により、便が柔らかくなる特徴があり、コロコロとした便の解消におすすめです。

硬水はヨーロッパ地方に多い理由から、洋食料理を多く作る方にも向いています。煮込み料理には硬水が適しており、お肉は柔らかくなり、野菜は歯ごたえを保ったまま美味しく調理できます。

パスタやお米に硬水を使うと、歯ごたえが良くなるのが特徴です。ヨーロッパ地方のパスタを茹でる際や、お米をパラパラに仕上げたいパエリアを調理する場合に硬水がおすすめです。

ミネストローネのような洋風の煮込み料理にも硬水は適しており、アルカリ性に近くなり酸味が和らぐため、野菜のまろやかな味が引き立ちます。硬水は、野菜の煮崩れ防止と上品な味に仕上げられるメリットもあります。

(まとめ)鉱水とは?硬水や軟水との違いとそれぞれのメリット

「鉱水」はポンプなどで汲み上げられた地下水のうち、ミネラルを多く含むお水のことです

市販のミネラルウォーターに「鉱水」と書かれていると、お水にミネラルが多い「硬水」と勘違いしてしまうことがあります。鉱水は原水の種類を指し、ミネラルが多い地下水をポンプ等でくみ上げたお水を意味します。

硬水を避けたい、または選びたいときは、「鉱水」の表示に惑わされないようにしてください。鉱水でも軟水を選ぶことができるため、お水に求める特徴を理解して最適なお水を選びましょう。

【この記事の執筆】

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ピュアハワイアンWebマガジン編集部

この記事は、ピュアハワイアンを提供する株式会社トーエルの編集部が監修しており、ウォーターサーバーについて役に立つ情報発信を目指しています。

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