1日を通してこまめに水分補給をすることで、ウイルスの侵入を防ぐことができます
風邪をひくと自分が辛いだけでなく、家族や周りの人に心配をかけてしまいます。できるだけひきたくない風邪の予防が、毎日の水分補給でできるとは本当でしょうか。
ここでは、水分不足が風邪につながる理由・水分補給が風邪予防になる理由・水分補給のポイント・水分補給以外の注意点について紹介します。季節や環境、体調に左右されない体づくりのために、参考にしてください。
目次
水分不足が風邪につながるのは「気道の乾燥」が原因
せん毛の乾燥
冬は空気が乾燥していることに加えて、暖房器具の使用や換気不足により、身体が脱水状態になりやすい環境です。水分不足から脱水状態になり、粘液に覆われている気道の「せん毛」が乾燥してしまうことが風邪を引く原因の一つです。
せん毛は空気と一緒に口や鼻から侵入するウイルスや病原菌などの異物を絡め取り、体外へと排出する役割を持っています。ただし粘液の水分が不足すると、うまく活動することができません。
せん毛が乾燥することによって、ウイルスを上手にキャッチすることができず、そのまま体内への侵入を許してしまいます。その結果、知らず知らずのうちに風邪を引いてしまうのです。
免疫力の低下
免疫力とは、身体の外から侵入してくる細菌やウイルスを攻撃する力のことです。乾燥によって水分が失われると、血流が悪くなります。血流が悪くなると、免疫力をつかさどる白血球の働きも悪くなってしまうので、細菌やウイルスを退治することができなくなってしまうのです。
さらに冬は気温が低く、体温の下がりやすい季節です。人の免疫力は体温が1℃下がると30%低下するとも言われ、感染しやすい状況を招いてしまいます。とくに15度以下の気温かつ湿度が40%以下の環境は、ウイルスの生存期間も長くなるため注意が必要です。
風邪予防には水分補給で「ウイルスを体外に排出」
風邪の予防には水分補給が欠かせませんが、その効果は一つだけではありません。
ウイルスを排出する
前述のように、水分補給をこまめに行うことにより体内の水分量が増え、せん毛が正常に働きウイルスや病原体などの異物を体外に排出することができます。水分を摂取することで、体内の循環が活発になり、病原菌が体内に留まらないこともポイントです。
反対に摂取する水分量が少ない場合には、体内の循環が滞り、病原菌が体の中に長時間留まってしまうのです。そのため、水分を多くとる人と少ない人とでは、風邪のひきやすさに差が生じてしまいます。
免疫力と水分補給の関係
免疫力は血流と関係があります。血流が上がることで新陳代謝が活発になり、免疫細胞も活発になります。また、こまめな水分補給により血流が改善すると、免疫効果のある白血球も全身に血液が行き渡ります。
またインフルエンザウイルスなどは、乾燥した状態で活動が活発になります。そのため十分に水分を摂取することで、身体の中の水分量を増やし、ウイルスが増殖しにくい体内環境へと導きます。
水分補給の「タイミング」と「飲み物」
では実際に、ウイルス対策・風邪対策にはどのくらいの頻度で水分補給をすればよいのでしょうか。
風邪予防に効果的な水分補給のタイミング
実は喉が渇いたなと感じる時には、すでに身体は脱水状態にあります。さらに、水分を摂取してから粘膜が潤うまでにも時間がかかるため、意識的に水分補給を行う必要があるのです。
1日の中でのタイミングとしては、「起床後すぐ」と「睡眠前」はとくに意識してください。ウイルスが喉や鼻の粘膜に付着してから体内に侵入するまでの時間は、一番早くて20分程度と言われています。そのため15〜20分に1回程度、コップ半分程度のお水を飲むとよいでしょう。せん毛の乾燥を防ぎ、ウイルスや病原菌を外に出しやすくなります。
風邪予防におすすめの飲み物
温かい飲み物
風邪予防で意識したいことは、「温かい飲み物」です。体温が下がると免疫機能が低下してしまうため、胃腸を冷やす冷たいお水やジュースは控えるようにしましょう。お水をのみ場合には、常温か白湯が基本です。
カフェインを含まない飲み物
温かい飲み物といっても、コーヒーをガブガブ飲むのはおすすめしません。カフェインには利尿作用があるため、尿量が増えトイレが近くなってしまうからです。摂取した水分を排出してしまうため、水分不足を助長してしまう可能性があります。水分不足は身体の乾燥につながるため、要注意です。
緑茶
緑茶には、抗菌作用や抗ウイルス作用のある「カテキン」が含まれています。実際にカテキンはインフルエンザや風邪のウイルス感染を防いでくれるという研究結果もあり、風邪予防に適した飲み物といえるでしょう。
ただし、緑茶にもカフェインが含まれているため、飲み過ぎはよくありません。多くても1日に1ℓ程度に抑えておきましょう。薄めた緑茶でうがいをするのもオススメです。
野菜ジュースやフルーツジュース
野菜や果物の種類によっても異なりますが、野菜ジュースやフルーツジュースには「ポリフェノール」が含まれています。このポリフェノールには、腸内環境を整えてくれる効果や抗酸化作用の効果があります、免疫力を高めてくれます。
さらに果物によっては、カリウムや疲労回復効果のある成分が含まれています。駅や商業施設の中でもフレッシュジュースが販売されていることが多いため、野菜や果物をそのまま摂取するよりも手軽に続けられるでしょう。スムージーや果汁100%のジュースを取り入れてみてください。
風邪対策の基本は「手洗い」「睡眠」「ビタミンC」
手洗い・うがい
まず一番大事なことは、基本を守ることです。室内に入った際に「手洗い・うがい」をすることで、手や喉に付着したウイルスや細菌を洗い流すことができます。また、うがいには喉を潤す効果があるので、ウイルスや細菌の侵入を防ぐことにつながります。
外出先から自宅に帰ってきた時やオフィスに戻った時、喉が乾燥しているなと感じた時には、手洗い・うがいをしっかり行うようにしましょう。
睡眠をしっかりとる
次に重要なポイントは、良質な睡眠をとることです。睡眠時間の短さは、免疫力を低下させる原因にもなるからです。睡眠中には副交換神経が優位になり、身体を回復させる機能が働きます。そのため十分な睡眠時間を確保することは、免疫機能を高めることにつながります。
また風邪を引いてしまった場合にも睡眠は有効です。身体の免疫力を高めることに加え、体温を上げることでウイルスの撃退にも役立ちます。少し暑いくらいの状態にし、風邪を早く治せるようしっかりと休みましょう。
ビタミンCの補給
風邪の時に摂取した方がよいとされているビタミンCは、風邪予防にも役立ちます。免疫力を高め、風邪予防・風邪対策に有効な栄養素とされています。ただし、ビタミンCは身体に溜め込むことのできない栄養素のため、一度に多く摂取してもすぐ排出されてしまいます。こまめに摂取を続けることを心がけましょう。
ビタミンCは果物や野菜に多く含まれていますが、一人暮らしの方や忙しい方は意識しないと摂取する機会がないかもしれません。1日の目安は100mgですが、継続して摂取することが難しい場合にはサプリメントを取り入れてみるのも一つの方法です。
(まとめ)風邪予防のための水分補給のポイントとは?
1日を通してこまめに水分補給をすることで、ウイルスの侵入を防ぐことができます
風邪予防をするには、こまめに水分補給して喉をはじめ全身が乾燥せず、潤った状態を保つことが必要です。15~20分に一度水分をとると、喉についたウイルスの侵入を防ぐので、お水をメインに緑茶や乳酸菌飲料なども取り入れてもかまいません。
冬は乾燥しやすく気づかないうちに脱水が進むので、意識的に水分をとりましょう。水分補給以外にも、手洗いうがいをする・睡眠の質を高める・ビタミンCをとるなどを生活の中で気をつけると、風邪対策になります。