離乳食にだしを取り入れるタイミングは、多くのガイドラインで生後5~6か月頃とされています

赤ちゃんの離乳食作りにおいて、「だし」はいつから使えるのか、そしてその活用法やメリットについて悩む保護者の方は多いでしょう。実は、だしは赤ちゃんの味覚形成や栄養面をサポートする上で非常に重要な役割を果たします。

この記事では、離乳食にだしを取り入れる最適なタイミングから、昆布だしや野菜だしといった種類の選び方、適切な調理・保存方法まで、専門的な根拠とともに詳しく解説します。だしの旨味が、赤ちゃんの食欲増進や多様な味への順応性を育む秘訣となることをご紹介します。

離乳食にだしを導入するタイミング

離乳食にだしを取り入れる最適なタイミングは、多くのガイドラインで生後5~6か月頃とされています。この時期の赤ちゃんは、首すわりが安定し、ゴックンと飲み込む動作が身につくため、昆布だしや野菜だしのような薄味の植物性だしを安全に試せる段階に入ります。

生後5か月を過ぎると胃酸の分泌量が増え、アミノ酸やミネラルを分解・吸収する酵素活性が高まることも、だし導入の目安となります。特に昆布だしに含まれるグルタミン酸は母乳にも存在する旨味成分なので、赤ちゃんの舌になじみやすいという利点があります。

離乳食にだしを使うメリット

離乳食にだしを加えることで、赤ちゃんにとって多くのメリットがあります。

味覚と食欲の発達を促し、健康的な味覚を育む

だしに含まれる旨味成分(グルタミン酸、イノシン酸など)は唾液の分泌を促し、咀嚼(そしゃく)を助けるため、食べる力を育てます。これにより、あごの発達が促され、将来の発音や歯並びにも良い影響があると考えられています。

また、だしの旨味は素材の風味を引き立て、舌触りをなめらかにするため、離乳食の味が単調だったり、食感が苦手だったりする赤ちゃんも食べやすくなり、食欲や完食率が上がります。特に苦味のある野菜にも効果的で、旨味が食欲増進ホルモンの分泌を促すことも期待できます。

離乳食の時期に昆布だしに豊富なグルタミン酸など様々な旨味に触れることで、赤ちゃんの味覚形成がサポートされ、好き嫌いが少なくなることにもつながります。早期の旨味経験が、将来的な野菜摂取量増加と関連するという研究結果も出ています。

塩分を抑えながら栄養摂取をサポート

だしの旨味は、塩分を控えめにしても十分な満足感を与えてくれます。家庭で作る野菜だしなどは市販のベビーフードと比べてもナトリウム量が非常に少ないため、赤ちゃんの塩分摂取量を適切に保ち、未熟な腎臓への負担を減らせます。離乳食期に薄味に慣れることで、将来的に薄味でも満足できる味覚が育ち、健康的な食習慣につながる可能性も高まります。

さらに、だしは「味付けの脇役」というだけでなく、赤ちゃんの成長を支える栄養ブースターの役割も果たします。だしに含まれるアミノ酸やミネラルは、食材からの栄養吸収効率を高める役割もあります。

例えば、昆布だしは甲状腺ホルモンの材料となるヨウ素やグルタミン酸を、煮干しだしは骨や歯の形成に関与するカルシウムやビタミンDを、鰹だしからは肝機能や視神経の発達をサポートするタウリンやイノシン酸を補給できます。このように、だしを使うことで、ナトリウム量を抑えながら、不足しがちな微量栄養素を補完できます。

調理の負担を軽減し、手軽に栄養をプラス

だしは少量でも風味豊かに仕上げられるため、保護者の方の味付けの手間や塩分量の計算が簡単になり、離乳食作りの時間を短縮できます。だしキューブなどを常備すれば、忙しい日でも手軽に栄養満点の離乳食を用意できるでしょう。

離乳食で使えるだしの種類

離乳食に活用できるだは、大きく以下の3つに分けられます。

1. 植物性だし

植物性だしは、アレルギーのリスクが低く、穏やかな味わいが特徴です。月齢の低い赤ちゃんや、薄味に慣れさせたい時期に特におすすめです。

昆布だしは、母乳にも含まれるグルタミン酸が主成分で、赤ちゃんにとって親しみやすい味です。ヨウ素も含まれますが、過剰摂取には注意が必要です。野菜だしは、人参、玉ねぎ、キャベツなどを使うことで、ほんのりとした甘みが加わり、赤ちゃんが好む風味になります。また、野菜由来のビタミンやミネラルも補給できます。

2. 動物性だし

動物性だしは、イノシン酸やタウリン、カルシウムなどを補給でき、離乳食中期以降のたんぱく質強化に役立ちます。

鰹だしはイノシン酸が豊富で、昆布だしとの相乗効果で旨味が強まります。煮干しだしはカルシウムや鉄の補給源として優秀です。使う際は頭と内臓を取り除き、水に浸けて塩抜きしてから使うのがポイントです。

3. 市販だしパック

市販だしパックは、手軽にだしを使いたいときに便利です。選ぶ際は「食塩無添加」「化学調味料不使用」の表示があるか、アレルゲンが含まれていないかを確認しましょう。

だしを使う際の注意点

だしを与える際には、いくつか注意すべき点があります。

 アレルギーへの配慮と慎重な導入

お子さんにアレルギーの既往があったり、ご家族にアレルギーを持つ方がいたりする場合は、事前に小児科医や管理栄養士に相談しましょう。魚介系のだしはアレルギー感作の可能性がゼロではないため、初めて与える際はごく少量から試すのが鉄則です。

その際、だしを加える食材は単一に絞り、与えてから48時間ほどは湿疹、下痢、むくみなどの体調の変化がないかを注意深く観察してください。もし異変が見られたら、すぐに中止して医療機関を受診しましょう。

また、だしの旨味によってアレルギー症状のサインが見えにくくなることもあるため、まずは食材自体のアレルギーを確認してから、だしを導入するよう優先順位をつけましょう。

塩分とヨウ素の適量

赤ちゃんの腎臓は未熟で、塩分を処理する能力が大人に比べて低いため、過剰な塩分摂取は腎臓に負担をかけるリスクがあります。

濃すぎるだしは腎臓負担だけでなく、昆布だしに含まれるヨウ素の過剰摂取による甲状腺刺激のリスクも高める可能性があります。

そのため、必ず薄めただしを少量から与え、1食あたりのヨウ素摂取量を20g以下に抑えるなど、適切な量を心がけることが非常に重要です。

継続的な体調観察

だしの導入に限らず、新しい食材を与える際は常に赤ちゃんの体調を観察することが大切です。発疹や嘔吐など、普段と違う様子が見られたら、すぐに与えるのを中止し、必要であれば医療機関を受診してください。

離乳食用だしの作り方と保存方法

基本的な作り方

だしは種類によって抽出時間が異なりますが、多くの基本だしは90℃で10分程度を目安にすると、旨味成分をしっかり引き出しつつ、えぐみや過度な蒸発を避けられます。

1. 昆布だし

昆布だしを作るには、2つの方法があります。

  • 水出し:昆布5gを水500mlに浸し、冷蔵庫で8時間置くだけで手軽に完成します。
  • 加熱法:昆布5gと水500mlを鍋に入れ、中火にかけて沸騰直前(80~90℃)で火を止めます。

どちらの方法でも、昆布の表面についている白い粉は軽く拭き取ってから使いましょう。

2. 野菜だし

玉ねぎ、人参、キャベツなどを2cm角に切り、水600mlと厚手の鍋に入れ、弱火で30分煮込みます。この際、沸騰させすぎず、表面がふつふつと揺れる程度の火加減を保つのがポイントです。

3. 鰹だし

鰹削り節5gを沸騰した水500mlに一気に投入し、再沸騰から30秒で火を止め、すぐに濾します。長く煮ると雑味が出てしまうため、短時間で濾すのがポイントです。赤ちゃん用には、さらに同量の水で薄めると安心です。

保存方法

だしの保存には、冷蔵と冷凍の2つの方法があります。

  • 冷蔵保存:清潔な容器に入れ、4℃以下で48時間以内に使い切りましょう。
  • 冷凍保存:-18℃以下で約1か月品質を保てます。抽出後すぐに氷水で冷やし、製氷皿(1キューブ約15ml)に小分けして急速冷凍すると、旨味成分の劣化を最小限に抑えられます。

凍ったキューブはラップで包み、ジッパー付き冷凍用バッグに入れて密閉すると、酸化や匂い移りを防げます。解凍する際は、電子レンジの低ワット(200W程度)で断続的に加熱し、人肌まで冷ましてから使用しましょう。一度解凍しただしの再冷凍は避けましょう。

市販のだしを選ぶ際のポイント

市販のだしを選ぶ際は、いくつか確認すべき点があります。

まず、「食塩無添加」「化学調味料不使用」の表示は重要なチェックポイントです。これらに加えて、裏面の原材料欄を最後まで確認し、酵母エキスやたん白加水分解物などの有無も確認しましょう。また、えび・かに由来のエキスや、アレルゲンを含む製造ラインでの生産有無など、アレルゲン表示も確認が必要です。

厚生労働省が定める基準をクリアした、赤ちゃん専用の商品には「乳児用規格適用食品」の表示がありますので、これも目安にできます。成分表示の「100mlあたり」のナトリウム量や食塩相当量を比較し、赤ちゃんの許容量を超えないか確認することも大切です。

最終的には、手作りと市販品の時間とコストを比較し、ご家庭のライフスタイルに合ったものを選びましょう。

離乳食にだしを使う際のよくある質問

Q.顆粒だしは赤ちゃんに使える?

市販の一般的な顆粒だしは、塩分とグルタミン酸ナトリウム(うま味調味料)が高濃度で配合されているため、離乳食期の赤ちゃんには基本的に不向きです。赤ちゃん専用の「乳児用規格適用食品」表示のある無塩・無添加顆粒だしであれば、緊急時に少量使うことは許容範囲ですが、常用は避けるべきです。使用する場合は、大人用レシピの1/8量を目安に極端に薄め、溶け残りに注意し、週2回程度に制限しましょう。

Q.だしを冷凍すると栄養が失われますか?

アミノ酸やミネラルは凍結で壊れることはなく、ビタミン損失も10%未満なので、安心して冷凍保存できます。急速冷凍し、使う分だけ解凍することで、風味や衛生面も問題なく保てます。

Q.だしでアレルギー反応が起こることはありますか?

単一素材の昆布や野菜だしであれば発症例は極めて少ないですが、混合だしや市販パックには隠れアレルゲンが含まれる可能性があります。初めて使うだしは少量から与え、体調変化をよく観察しましょう。

Q.昆布だしのヨウ素は毎日与えても大丈夫?

適切に希釈し、1食あたりのヨウ素摂取量を20μg以下に抑えれば、毎日与えても問題ありません。ただし、濃いだしを計算せずに続けると甲状腺機能に影響するおそれがあるため、週に1〜2回は昆布以外のだしに切り替えてローテーションすることをおすすめします。

Q.だしの塩分が赤ちゃんに与える影響は?

赤ちゃんの腎臓は未熟で、塩分を処理する能力が成人より低いため、過剰な塩分は腎臓に負担をかけます。また、離乳食期に塩分を控えることで、将来的に薄味でも満足できる味覚が育ち、減塩習慣につながる可能性が高いとされています。無塩の天然だしは旨味中心なので、塩分依存を抑える効果が期待できます。

Q.どのくらいの量から始めればよいですか?

初期(5〜6か月)では、おかゆや野菜ペーストに小さじ1/2程度の薄いだしから始めましょう。中期(7〜8か月)では小さじ1〜2杯、後期(9〜11か月)では大さじ1程度を目安にします。赤ちゃんの反応を見ながら徐々に増やしていくことが大切です。

(まとめ)赤ちゃんの離乳食、だしはいつから使える?

離乳食にだしを取り入れるタイミングは、多くのガイドラインで生後5~6か月頃とされています

離乳食におけるだしの活用は、単なる風味付けにとどまらず、赤ちゃんの健やかな成長を多角的にサポートする強力なツールです。生後5〜6か月頃から昆布だしや野菜だしといった薄味の植物性だしを慎重に取り入れ、中期以降は動物性だしも加えることで、赤ちゃんの味覚形成を促し、偏食のリスクを減らす効果が期待できます。

また、だしの旨味は塩分控えめでも満足感を与え、栄養吸収効率を高めるメリットもあります。手作りのだしは、適切な作り方と保存法で安全に活用し、市販品を選ぶ際は無塩・無添加表示を必ず確認しましょう。

だしの力を借りて、赤ちゃんの「食べる喜び」を育み、健やかな成長をサポートしていきましょう。不安がある場合は、必ず小児科医や管理栄養士に相談することをおすすめします。

【この記事の執筆】

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ピュアハワイアンWebマガジン編集部

この記事は、ピュアハワイアンを提供する株式会社トーエルの編集部が監修しており、ウォーターサーバーについて役に立つ情報発信を目指しています。

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