コーヒーの成分やミルクによって、下痢をもたらす可能性があります
眠気を覚ましたい時や気分転換したい時などにコーヒーを飲むと、気持ちが落ち着いてやる気が出てくるという方もいるでしょう。このように好んで飲む方も多いコーヒーですが、飲み過ぎると下痢になってしまうことがあります。
たくさん飲むとお腹が緩くなるなとこれまでに感じたことがある方もいるかもしれません。そもそも、コーヒーを飲み過ぎるとどうして下痢になるのか、その原因について説明していきます。
また、下痢にならないためのコーヒーの飲み方や1日の適切な摂取量などにも言及していくので、目を通してみてください。
目次
「カフェイン」や「タンニン」などの成分が原因かもしれません
コーヒーを飲んで下痢をするのは、カフェインやタンニンなどの成分が原因の可能性もあります。これらの成分が体にどう影響するのかを詳しく見ていきましょう。
胃腸を刺激するカフェイン
カフェインには、神経を興奮させる作用があります。コーヒーは眠気覚ましになると言われますが、これはカフェインが眠気をもたらす物質をブロックし、神経を過剰に刺激して興奮状態を作るためだからです。
神経が興奮すると、消化器官にも影響が及びます。胃酸が多量に分泌されると胃腸の消化活動がうまくいかなくなり、水分がきちんと吸収できないまま排出されることになります。
そのため、最終的に下痢が起こるというわけです。
カフェインの1日最大摂取量は約400ミリグラムだとされており、コーヒーに換算すると約3~4杯となります。下痢を防ぐためにも、カフェイン摂取量をきちんと守りましょう。
収れん作用のあるタンニン
タンニンは、茶葉や果物の種子などの含まれる渋み成分のことです。ポリフェノールの一種で、収れん作用があります。
収れん作用は、たんぱく質を変質させて血管や細胞組織を縮める働きのことです。口の中で渋みを感じるのは、タンニンが舌や口内粘膜にあるたんぱく質の性質を変性させ、組織を縮めているからです。
同じようにタンニンは胃の粘膜も収れんさせ、胃の動きを助ける働きがあると言われています。しかし、過剰に摂取すると却って胃腸を刺激しすぎる場合があります。
胃腸の働きが鈍くなって下痢などの症状をもたらすリスクもあるので、注意しましょう。
胃酸の分泌を促すクロロゲン酸
コーヒーには、クロロゲン酸という成分も含まれます。クロロゲン酸もポリフェノールの一種で、コーヒーでは苦み成分のことです。
クロロゲン酸には、胃の粘膜を刺激して胃酸の分泌を促す作用があります。胃酸は消化を活発化させるという点は良いのですが、胃酸過多になると胃が荒れて、胃痛が起こる可能性もあります。
また、水分の吸収がうまくいかず下痢の原因ともなってしまうので、コーヒーの飲み過ぎには気を付けましょう。
体質によっては「ミルク」や「砂糖」が原因の場合もあります
コーヒーを飲むと下痢になる原因は、コーヒーに入れるものが原因とも考えられます。そこで、コーヒーに入れる砂糖やミルクが下痢を引き起こしている可能性についても見ておきましょう。
血糖値を上げる砂糖
コーヒーの苦みを和らげるために砂糖を入れるという方もいるでしょう。砂糖を摂取すると血液に糖分が吸収されて、血糖値が上がります。
すると、血糖値を下げようと腸が水分を出して血液中の糖分を薄めようとします。この水分が増えすぎると腸内で吸収しきれずに、下痢を起こす可能性があるのです。
また、糖分は主に小腸で吸収されますが、吸収しきれない糖分が大腸へと送られてしまいます。そうなると、お腹を壊しやすい方だと下痢になる場合があります。
乳糖不耐症を招く牛乳
コーヒーに牛乳を入れてカフェオレにして飲むという方もいるでしょう。実はこの牛乳も、下痢を招く原因の一つと考えられています。
牛乳には乳糖が含まれており、ラクターゼという消化酵素の働きにより小腸で分解吸収されます。しかし、ラクターゼの分泌量が少ない小腸での消化が十分でないため、消化不良や腹痛、下痢などの症状が出ることがあります。
ラクターゼ不足により消化不良などの症状が起こることを、乳糖不耐症といいます。牛乳による体調不良というと、牛乳アレルギーだと思う方も多いかもしれません。
牛乳アレルギーは牛乳に含まれるたんぱく質に対するアレルギー反応で、じんましんなど皮膚に症状が出現しやすいと言われています。乳糖不耐性とはまた違うので気を付けましょう。
胃腸に負荷がかかるコーヒーフレッシュ
コーヒーに市販のコーヒーフレッシュを入れるという方もいます。コーヒーフレッシュというのは、正式にはミルクではなく、オイルに水や香料などの添加物を入れたものです。
成分同士をなじませるために含まれているのが、ショ糖脂肪酸エステルという合成乳化剤です。このショ糖脂肪酸エステルは人工乳化剤なので、人によっては胃腸に負荷がかかり、下痢を招く場合があります。
また、コーヒーフレッシュの賞味期限が過ぎると成分が劣化し、消化機能に影響を及ぼすこともあります。それによって腹痛や下痢などの症状が起こることがあるので注意しましょう。
コーヒーは「過敏性腸症候群」を悪化させる可能性があります
過敏性腸症候群を発症している方は、コーヒーの飲み方に注意する必要があると言われています。そもそも過敏性腸症候群とはどのような病気か、コーヒーがどう影響を与えるのかを詳しく紹介していきます。
過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群というのは、何らかの原因で腸が便を外に押し出そうとするぜん動運動が活発になりすぎて起こる病気です。主にお腹の張りや腹痛、便秘や下痢、吐き気や頭痛、全身の倦怠感などの症状が数カ月程度続くのが特徴です。
過敏性腸症候群の発症数は年々増加しており、誰にでも起こり得る病気だと言えるでしょう。
ストレスが原因の一つ
過敏性腸症候群の原因の一つが、過度な精神的ストレスです。心のストレスを抱えると、自律神経バランスが乱れます。
自律神経は腸の動きにも影響を与えているため、ストレスがかかることで胃腸の機能が正常に働かなくなり、発症する可能性があります。
生活習慣の乱れも要因となる
生活習慣の乱れも過敏性腸症候群を招く恐れがあります。脂肪分の多い食べ物は消化に時間がかかり消化機能に大きな負担をかけるため、下痢などの症状が起きやすいと言われています。
コーヒーにようにカフェインを多く含む飲食物を摂取しすぎるのも、発症の要因の一つです。また、運動不足や睡眠不足が続くと自律神経バランスが乱れてしまうため、結果的に過敏性腸症候群の症状を悪化させます。
「下痢」や「腹痛」を防ぐ飲み方を覚えておこう
コーヒーを飲むと下痢や腹痛などが起こる場合があると説明しました。しかし、飲み方に気を付ければ防ぐことは可能です。
そこで、下痢や腹痛を予防する飲み方について紹介します。
飲み過ぎに注意し、空腹時を避ける
コーヒーを適量飲むのは問題ないですが、飲み過ぎはカフェインやタンニンなどの過剰摂取となり下痢を招きます。カフェインの摂取量を考慮し、多くても1日3~4杯までにしておくことが大事です。
連続して飲むのではなく、1杯飲んだら少し時間を置くようにしましょう。また、クロロゲン酸には胃酸の分泌を促す作用があります。
空腹時にコーヒーを飲むと、消化する食べ物がないのに胃酸だけが増えて、胃の中が荒れてしまいます。そうならないように空腹時を避けてコーヒーを飲むようにしましょう。
カフェインレスコーヒーを選ぶ
カフェインレスコーヒーは、カフェインがかなり少量しか含まれていないコーヒーです。お腹が緩い方やコーヒーをたくさん飲むという方は、カフェインレスコーヒーを選ぶのも下痢を予防には効果的だとされています。
また、コーヒー豆の代わりにタンポポの種を使ったタンポポコーヒーもおすすめです。香ばしくてコーヒーに似た味わいなので、美味しく飲めるでしょう。
下痢をした時の対処法
コーヒーを飲み過ぎて下痢をした場合は、白湯を飲むと良いでしょう。白湯はお腹を温めて消化機能を正常化にさせたり、過剰摂取したカフェインを薄めたりする効果が期待できます。
また、胃腸が温まることで下痢によって緊張していた神経がほぐれて体がリラックス状態になり、下痢症状が和らぐとされています。
(まとめ)コーヒーの飲み過ぎは下痢になる?
コーヒーには下痢をもたらす可能性がある成分が含まれています。神経を興奮させ、胃腸の消化機能にも影響を及ぼすカフェイン、胃腸を刺激するタンニンや胃酸の過剰分泌をもたらすクロロゲン酸などです。
コーヒーに入れる砂糖や牛乳、コーヒーフレッシュが下痢の原因となる可能性も考えられます。また、ストレスや生活習慣の乱れなどが原因で発症する過敏性腸症候群の方がコーヒーを飲むと、下痢になる場合もあるので注意が必要です。
コーヒーを飲んで下痢になるのを防ぐには、飲む量を1日に3~4杯程度にとどめ、空腹時を避ける、カフェインレスコーヒーを飲むことなどが効果的です。もし下痢をしたら、お腹を温めて白湯を飲むと良いので試してみましょう。