飲んだ水分を体に溜め込んでいる状態で、お水を飲むだけで脂肪が増えることはありません
「お水を飲んでも太る」とも言われるように、お水の飲み過ぎで水太りになっていると感じている方もいるかもしれません。水太りとは、いったいどんな原因でなるのでしょうか。
この記事では、水太りの原因から対策法まで紹介します。むくみが気になる方は、水太りの本当の原因を理解して、自分に合った解消法を見つけてみてください。
目次
水太りとは「体に水分を溜め込んでしまうこと」
水太りとは、新陳代謝の低下により、飲んだ水分を体に溜め込んでいる状態のことです。お水自体はカロリーゼロのため、お水を飲んだだけで脂肪が増えることはありません。
飲んだお水で、一時的に体重が増えることはあります。しかし、体の新陳代謝に問題がなければ飲んだお水は尿などで老廃物と一緒に排出されるため、お水を飲み過ぎても太りません。
お水を飲むと手足がむくんで太ったように感じる時は、水分代謝の低下を疑う必要があります。新陳代謝の低下が起きている時は、手足のむくみが現れ、トイレに行く回数が4回以下など少なくなります。
そのまま新陳代謝が低下した状態が続くと、体温や血液を調節する自律神経が乱れ、さらに新陳代謝の低下という悪循環が起きやすいため、早めの対処が必要です。
このような水太りの症状がある方は、水毒症かもしれません。元々の体質からくるものや慢性的な運動不足によるもの、病気が原因のものがあります。また、冷たい水を大量に飲んだ時だけ水毒症が現れるケースもあります。
体重増加は「むくみやすい生活」が原因の可能性も
水太りになる原因は、複数の問題が考えられます。生活習慣や食生活の影響、体質的な原因もあるため、それぞれ紹介します。
女性特有のむくみ
生理の2週間前くらいから女性ホルモンのプロゲステロンが増えるため、むくみやすく体重増加になる場合があります。しかし、生理後に女性ホルモンのバランスが変わると、体重は元に戻ります。
このように一過性のむくみは体質的なもののため、心配する必要はありません。
冷えによるむくみ
体のむくみは、冷えている人に多くみられます。特に筋肉量が少ない女性は、冷えによるむくみが多くなっています。
体の冷えでむくみが生じるのは、血流の低下が水分バランスを乱す原因だからです。女性は男性に比べて筋肉量が少ないため、ふくらはぎにある筋肉のポンプ機能が働きにくくなり、ひざ下がむくみやすくなります。
同じ姿勢を続ける人に多いむくみ
立ち仕事やずっと座っているデスクワークの女性は、冷えによるむくみが多いとされています。長時間同じ姿勢を続けることでも血流やリンパの流れが悪くなるため、下半身にある筋肉のポンプ機能が働かなくなります。
そのため、立ち仕事や座っている人は、夕方になると下半身のむくみを感じやすいのです。
食生活によるむくみ
食生活の乱れでも、体に水分を溜め込んでむくむことがあります。塩分やアルコールを摂取しすぎることや、ミネラル不足などが原因です。
塩分の摂りすぎは体内の塩分濃度を一定にする体の働きにより、水分排出を抑えて体内に水分を溜め込もうとするためむくみが生じます。また、過剰なアルコール摂取で血管が拡張し、血管から水分が漏れやすくなるのもむくみの原因です。
ミネラルの一種カリウムが不足することも、体の水分代謝を低下させます。野菜や果物に多く含まれているカリウムは、塩分の排出を促す働きがあり、不足すると体に水分を溜め込んでむくみが発生します。
体に水分を溜め込みやすいならお水を飲む量を減らせばいいと考えるかもしれませんが、水分不足もむくみの原因になるため注意が必要です。体に水分が足りないと溜め込もうとするため、水分摂取を減らすこともむくみの原因になります。
水太りの解消には「軽い運動」や「入浴」がオススメ
水太りの状態になっている時は、体の水分代謝を高める対策がおすすめです。運動や入力などの対策で、水分を排出しやすくする解消法を紹介します。
運動
運動で筋肉を動かすと血流が良くなり、水分を排出しやすくなります。運動して体温が上がることによる発汗や、動いた時の呼気でも水分を排出できます。
また、血流がアップすると腎臓の細胞の働きが良くなり排尿量が増えます。
運動不足で水太りの時は筋肉を動かすと良いので、体の筋肉量の6~7割を占める下半身を動かすようにしましょう。たとえば、スクワットやウォーキングなどが挙げられます。
下半身の筋肉を直接動かしたい時はスクワットを選び、強度を下げたい時は自分のペースで続けられるウォーキングをするがおすすめです。
入浴
入浴による温熱効果や、湯船につかる水圧の効果で血流が良くなります。腎臓や肺からの水分代謝が良くなり、発汗でも水分を排出できるため、水太り解消が期待できるでしょう。
また、湯船につかれば体に水圧がかかり、下半身のポンプ機能が働きます。下半身に溜まった血流が心臓へと戻され、腎臓機能がアップして排尿量が増えてむくみ解消につながります。
入浴は、38~40℃くらいの温度で、下半身を温める半身浴がおすすめです。水分代謝が高まり脱水になりやすいので、入浴前にコップ1杯のお水を飲んでおきましょう。
マッサージ
冷えや長時間同じ姿勢を続けて下半身の血流が悪くなっている時は、ふくらはぎをマッサージする方法が有効です。マッサージすることで、下半身に溜まった血液を上半身に戻し、リンパの流れも促せます。
しかし、もむ方法だと労力の割に効果が出ないと感じることがあるかもしれません。短時間かつ少ない力でやりたい時は、膝の裏を30秒ほど指の腹で押しましょう。痛くない程度の力で押すのがおすすめです。
また、長時間同じ姿勢を続けている時は、かかとを上げ下げする運動をすると、下半身のポンプ機能が働きやすくなります。長時間座り続けると血流が悪くなるので、こまめにトイレに立つなど、下半身を動かす対策をしましょう。
「体を冷やす飲み物」や「減塩」など生活習慣の見直しも効果的
水太り対策は、食生活や生活習慣を改善させる方法があります。むくみの原因となっている問題を解消させるために、おすすめの方法を紹介します。
減塩を心がける
塩分の摂りすぎは体に水分を溜め込みやすくなるため、毎日の食事では減塩を心がけましょう。体には、血液の塩分濃度を一定に保つ働きがあるため、塩分の過剰摂取で血液を薄めようとして水分を溜め込んでしまいます。
厚生労働省による報告によると、1日の適切な塩分摂取量は、成人男性9gで成人女性は7.5以下だとしています。味付けの濃い食事を好む方や、レトルト食品やスナック菓子など塩分の多い食品を好む方は、減塩がおすすめです。
毎日の食事で塩分過剰になると、水太りの原因になるだけでなく、高血圧・心臓病・脳卒中などの生活習慣病リスクも高まります。また、野菜や果物を多く摂取して、カリウムによる塩分排出作用を利用する方法もおすすめです。
体を温める食べ物を摂る
漢方では、体を温める食べ物と、体を冷やす食べ物があるとしています。食事をする時には、バランスに注意しましょう。
体を温めるのは赤や黒など暖色のもので、硬く、北方圏や冬季にとれる食べ物です。体を冷やす食べ物は逆の性質があり、青や緑など冷色で、柔らかく、南方圏や夏季にとれる食べ物です。
たとえば、同じ野菜ならサラダよりもゴボウやニンジンのような根野菜が良く、果物はパイナップルやマンゴーではなく、リンゴやプルーンなど北方圏でとれるものを選ぶと体を温めやすくなります。
白湯を飲む
冷たい飲み物は物理的に体を冷やし、血流やリンパの流れを悪くしてしまいます。汗をかいた時や気温が高い時は冷たい水を一気に飲みたくなりますが、体を冷やす原因になってしまうため注意しましょう。
水太りを感じている方におすすめの水分補給は、白湯です。白湯なら適度に温かいため体を冷やす心配がなく、一気に飲み過ぎることがありません。
白湯が味気ないと感じる時は、生姜湯や紅茶などの温かい飲み物でもいいでしょう。緑茶に比べて紅茶は体を冷やしにくい飲み物で、利尿作用のあるカフェインも含まれているため、むくみ解消におすすめです。
漢方薬を利用する
漢方薬では、水毒の改善に「五苓散(ごれいさん)」、「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」、「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」などが使われます。体質によって使う漢方薬が異なるため、担当医に相談してみてください。
(まとめ)水太りとは?水を飲むだけで体重が増えるの?
飲んだ水分を体に溜め込んでいる状態で、お水を飲むだけで脂肪が増えることはありません
お水の飲み過ぎは、水太りの原因になることはありません。しかし、生活習慣や食生活の影響で水太りになることはあるため、むくみを感じている方は原因を突き止め解消しましょう。
また、意外と見逃してしまう原因として、水分不足が挙げられます。むくみがあるからと水分補給量を減らすことも悪影響を与えるため、適度な水分補給を心がけながら、紹介した対策法を試してみてください。