赤ちゃんの平熱は36.5度~37.4度、一般的には37.5度以上で発熱とされています
赤ちゃんの体温管理は、健やかな成長に欠かせません。生まれたばかりの赤ちゃんは体温調節が苦手なため、環境の変化に敏感に反応し、体温が大きく変動することがあります。
体温の変化は、赤ちゃんからの大切なサインです。この記事では、赤ちゃんの平熱の基本から、体温測定法、発熱時の対処法、受診の目安、そして免疫と感染症の関係まで、詳しく解説します。
目次
赤ちゃんの平熱とは?基本を知ろう
「うちの子の平熱は?」多くの親御さんが持つ疑問です。平熱を知ることが日々の健康管理の第一歩となります。
生まれたばかりの赤ちゃん(新生児から1歳くらいまで)の平熱は、一般的に36.5℃から37.4℃が目安です。ただし、この数値はあくまで平均であり、赤ちゃんによって個人差があります。
日々の測定を通して、ご自身の赤ちゃんの「いつもの体温」を把握することが大切です。
赤ちゃんの体温が高い理由
赤ちゃんの体温が大人よりも高いのは、主に3つの理由があります。
・活発な代謝
成長期にある赤ちゃんは、細胞分裂やエネルギー消費が非常に活発なため、体の中で多くの熱が産生されます。
・体表面積の割合
体の大きさに対して体表面積が大きいため、熱が放散しやすく、外気温の影響を受けやすいです。
・体温調節機能の未熟さ
汗腺などの機能が未発達なため、体温を一定に保つのが苦手です。大人のように汗をかいたり、震えて熱を産生したりすることが難しく、周囲の温度に大きく影響されます。
平熱を把握することの重要性
赤ちゃんの平熱を把握することは、発熱や低体温などの異常を早期に発見し、適切な対応をするために非常に重要です。
普段の体温を知っていれば、わずかな体温上昇にも気づきやすくなり、感染症などの早期発見・治療につながります。また、定期的な体温測定によって、季節変化や成長による体温の推移を把握し、健康状態を適切に管理することができます。
急激な体温変化、機嫌の悪化、食欲不振、手足の冷えなどは要注意サインです。
特に、ぐったりしている、元気がない、ミルクの飲みが悪い、機嫌が悪い、いつもと違う泣き方をするなどの症状が現れた場合は、注意深く観察し、必要に応じて医療機関に相談しましょう。
手足の温度と体温
赤ちゃんの手足は、体温調節のため血流が変化しやすく、手足の温度だけで全身の状態を判断することはできません。手足が冷たくても、顔色が良く元気に遊んでいれば心配ありません。
しかし、手足が冷たい上に顔色が悪くぐったりしている場合は、体温が低下している可能性があるので、暖かくして様子を見ましょう。必要に応じて医師に相談してください。
寒い環境では手足の血管が収縮して冷たく感じることがありますし、逆に体が熱を持っている時や活発に動いた後は、血管が広がり温かく感じることもあります。
赤ちゃんの体温と環境の整え方
赤ちゃん、特に新生児は体温調節機能が未熟です。大人と違い、汗をかいたり震えて熱を産生したりするなどの体温調節が苦手で、周囲の温度に大きく影響を受けます。そのため、適切な環境管理が非常に重要になります。
新生児の体温調節
新生児は、低体温や高体温になりやすいので注意が必要です。低体温は代謝機能や免疫力の低下につながり、高体温は脱水症状や熱中症の危険性を高めます。
これは、新生児の汗腺の数が少なく機能も未発達なため効率的に体温を下げることができないこと、体温を保持する皮下脂肪の層が薄く外気の寒さの影響を受けやすいこと、そして体温保持に役立つ体毛が細く柔らかいため効果が限定的であることが原因です。
快適な室温の保ち方

赤ちゃんが過ごす部屋の温度は、健康に直結します。快適な室温を保つために、季節に合わせた工夫が必要です。
・夏
26℃〜28℃を目安に、エアコンや扇風機で室温を調整しましょう。直接風があたらないように注意し、赤ちゃんが快適に過ごせるよう工夫してください。
・冬
20℃〜25℃を目安に、暖房器具と加湿器を併用して、乾燥を防ぎましょう。暖房器具を使う際は、赤ちゃんに直接熱が当たらないように注意してください。
急激な温度変化は赤ちゃんにとってストレスとなるため、室温を安定させることが大切です。さらに、夏場の日差し対策も重要です。直射日光が部屋に入ると室温が急上昇するため、カーテンやブラインドを利用して日差しを遮ることで、快適な環境を維持することができるでしょう
衣服選びのポイント
赤ちゃんの衣服を選ぶ際は、デザインだけでなく、体温調節をサポートする機能性を重視することが大切です。
・素材
夏は通気性・吸湿性の良い綿や麻、冬は保温性の高い綿の起毛素材やフリースなど、素材に気を配りましょう。
・重ね着
薄手の服を重ね着させることで、気温に合わせて脱ぎ着しやすく、体温調節がしやすくなります。
・厚着の注意
赤ちゃんは大人よりも薄着(大人より1枚少なめ)で十分なことが多いので、厚着させすぎないように注意し、体温が急変しないようこまめに調整しましょう。外出時には、脱ぎ着しやすいカーディガンやブランケットがあると便利です。
冷えのサインを見つける
赤ちゃんの背中や手足の冷えは、体温状態を知るための重要な手がかりです。手のひらを使って、背中、首の後ろ、手のひら、足の甲を触って確認してみましょう。
手足が冷たく、顔色が青白い、呼吸が浅い、いつもよりぐったりしているなどのサインが見られたら、赤ちゃんが冷えている可能性があります。このような場合は、服を追加したり、室温を調整する、暖房器具や加湿器を使用する、換気を適度に行うなどの対策をとりましょう。
体温変動のリズム
赤ちゃんの体温は、一日の時間帯によって変動します。一般的に、明け方に最も低く、夕方から夜にかけて高くなる傾向があります。このリズムを理解しておくことで、体温測定の結果を正しく判断できます。
体温測定を行う際は、安静な状態、同じ時間帯に行い、記録しましょう。記録には、測定日時、赤ちゃんの状態、室温などもメモしておくと役立ちます。普段と異なる体温変動や気になる症状がある場合は、早めに医療機関に相談しましょう。
正しい体温の測り方と注意点

赤ちゃんの健康状態を把握するために、体温を正しく測定することはとても重要です。間違った測り方をすると、実際の体温と違う値が出てしまうことも。正しい知識と丁寧な測定を心がけましょう。
体温計の種類
赤ちゃんの体温を測る体温計には、様々な種類があります。赤ちゃんの年齢や状況に合わせて、使いやすいものを選びましょう。
種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
予測式 | 数十秒で予測値を表示 | 短時間で測定できる | 誤差が生じる可能性がある |
実測式 | 実際に体温を測定 | より正確な値が得られる | 測定時間がかかる |
非接触 | 赤ちゃんの額に近づけて測定 | 接触せずに測定できる | 測定環境の影響を受けやすい |
耳式 | 耳の鼓膜の温度を測定 | 比較的正確 | 耳垢や中耳炎などの影響を受けやすい |
・予測式体温計
短時間(数十秒程度)で予測値を示します。短時間で測れるので、じっとしていない赤ちゃんにも便利です。ただし、予測値なので誤差が生じる可能性があります。高めの値が出た場合や、赤ちゃんの様子がおかしいときは、実測式体温計で測り直しましょう。
・実測式体温計
より正確な値が得られますが、脇の下で約5分間の測定が必要です。しかし、脇の下で5分ほど待つ必要があるため、赤ちゃんが嫌がることもあります。
・非接触型体温計
額やこめかみに触れずに測定でき、短時間で結果が得られます。ただし、測定環境による影響を受けやすいため、他の体温計での再測定も検討しましょう。
・耳式体温計
耳に入れて鼓膜の温度を測ります。比較的正確ですが、耳垢の状態や中耳炎などで正しい値が得られない場合があります。
体温の測り方
・脇の下
測定前に汗を拭き取り、体温計の先端が脇の下の最も深い部分にしっかりと当たるように垂直に挿入します。赤ちゃんの腕を軽く体温計に沿わせるようにして、しっかりと挟み固定します。
・口
赤ちゃんが体温計を噛んだり飲み込んだりする危険があるので、乳幼児にはおすすめしません。ある程度大きくなって、自分で体温計を保持できるようになってから、親御さんの監視下で行いましょう。
測定のタイミングとポイント
赤ちゃんの体温は、活動、食事、睡眠などによって変動するため、正確に測定するには適切なタイミングと環境を選ぶことが重要です。
食後、運動直後、入浴直後は体温が上がっているため、30分ほど経ってから測定しましょう。赤ちゃんが安静な状態であることも大切です。寝ている場合は無理に起こす必要はありません。
また、毎日同じ時間に測定することで、体温の変化に気づきやすくなります。測定環境にも気を配り、室温が夏は26〜28℃、冬は20〜25℃の適切な範囲内であることを確認しましょう。極端な温度や湿度の中で測定すると、正しい値が得られない場合があります。
赤ちゃんが発熱したら?症状と対処法

赤ちゃんが発熱するのは、体が何らかの原因と闘っているサインです。発熱時の症状を正しく理解し、適切な対処をすることで、赤ちゃんを楽にしてあげ、合併症を防ぐことができます。
発熱時の様子
赤ちゃんがいつもと違う様子を見せたら、まずは体温を測って確認してみましょう。心配な場合は、迷わず医師に相談してください。
・いつもと違う泣き方
いつもは元気に泣く赤ちゃんが、だるそうに泣き声が小さくなったり、泣き方が変わったりすることがあります。
・ぐったりしていて、遊びに興味を示さない
いつもは遊び好きなのに、ぐったりしていて、おもちゃにも興味を示さなくなったり、おもちゃで遊ぼうとしてもすぐに飽きてしまうこともあります。
・ミルクや母乳を飲む量が減る
いつもと同じ量を飲もうとしない、途中で飲まなくなってしまう、などの変化が見られる場合があります。
・顔色が悪い
顔色が普段より青白くなったり、唇の色が薄くなったりすることがあります。
発熱の原因と可能性
赤ちゃんが発熱する原因は様々ですが、最も多いのは感染症です。風邪、インフルエンザ、突発性発疹、中耳炎、手足口病など、様々なウイルスや細菌によって発熱が起こります。
ただし、環境要因によって一時的に体温が上昇することもあります。暑い日に厚着をさせたり、締め切った車内に長時間いたりすると、体温が上がり、発熱したように感じることがあります。
原因 | 病名・状況 |
主な症状(発熱以外)
|
感染症 | 風邪 |
鼻水、咳、くしゃみなど
|
インフルエンザ |
全身の倦怠感、筋肉痛、関節痛など
|
|
突発性発疹 |
熱が下がった後に全身に発疹(生後6ヶ月〜1歳頃に多い)
|
|
中耳炎 |
耳の痛み(耳を触るしぐさ)、機嫌が悪い
|
|
手足口病 |
口の中や手足に水疱性の発疹、食欲不振
|
|
その他の病気 | 川崎病 |
目の充血、唇の赤み、発疹、首のリンパ節の腫れ(高熱が5日以上続く)
|
髄膜炎 |
頭痛、嘔吐、首の後ろの硬直、意識障害
|
家庭での対応

赤ちゃんが発熱した場合、家庭でできる対応は以下の通りです。
・水分補給
発熱時は、汗や呼吸によって体内の水分が失われやすくなります。こまめに母乳やミルク、経口補水液などを与え、水分を十分に補給しましょう。
経口補水液は、水に電解質(ナトリウムやカリウムなど)と糖分が含まれており、効率よく水分を補給できます。市販の経口補水液を利用するか、医師や薬剤師に相談して、適切な濃度のものを使用しましょう。
・体温調節
赤ちゃんを涼しく快適に保つことが重要です。室温は夏は26~28℃、冬は20~25℃を目安に。衣服は通気性の良いものを選び、薄着をさせましょう。必要に応じてブランケットなどで調整してください。
高熱の場合は、わきの下や足の付け根などを、水で濡らして絞ったタオルや保冷剤などで冷やすと効果的です。ただし、長時間冷やし続けると体が冷えすぎてしまうため、こまめに様子を確認し、悪寒や震えが見られたら中止しましょう。
・解熱剤の使用
アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの解熱剤は、発熱による不快感を軽減するのに役立ちます。ただし、解熱剤は病気そのものを治す薬ではなく、症状を一時的に和らげるものです。使用前に必ず医師や薬剤師に相談し、指示された用法・用量を守りましょう。
アセトアミノフェンは比較的穏やかな解熱剤で、多くの赤ちゃんに使用できます。イブプロフェンは解熱効果が強いですが、使用できる月齢に制限があります。医師の指示に従って適切な解熱剤を選びましょう。
病院受診が必要なケース

赤ちゃんの発熱は、多くの場合、自然に治まりますが、以下の場合は医療機関を受診しましょう。
・38℃以上の発熱
特に生後3ヶ月未満の赤ちゃんが38℃以上の発熱をした場合は、早めに受診しましょう。
・症状悪化
発熱以外に、ぐったりしている、嘔吐や下痢が続く、呼吸が苦しそう、けいれんがあるなどの症状が見られる場合は、すぐに受診してください。
・高熱が続く場合
解熱剤を使用しても熱が下がらない、またはすぐに再上昇する場合も、医師に相談しましょう。
けいれんが見られた場合
赤ちゃんがけいれんを起こした場合、落ち着いて以下の手順で対応しましょう。
- 安全な場所に寝かせ、衣服を緩める
- 顔を横向きにして、吐瀉物を除去
- けいれんが始まった時間と持続時間を記録
- 5分以上続く、複数回起こる、呼吸が止まる、顔色が悪くなる場合は、救急車を呼ぶかすぐに医療機関へ。
- けいれんが治まっても、医師の診察を受けましょう。
赤ちゃんの免疫力と病気への備え

赤ちゃんの免疫システムは成長とともに発達します。免疫の発達と感染症の関係を理解することは、赤ちゃんの健康を守る上でとても大切です。
ママからの免疫
赤ちゃんは、胎盤や母乳を通してママから抗体を受け継ぎ、生後数ヶ月間は感染症から守られます。
いわば、ママからの贈り物である抗体が「お守り」のように赤ちゃんを守ってくれるのです。しかし、この効果は徐々に弱まるため、赤ちゃん自身が免疫を作る必要があります。
免疫の発達
赤ちゃんの免疫システムは、ウイルスや細菌に感染したり、予防接種を受けたりすることで発達します。病原体に初めて感染すると、それを攻撃する抗体が作られます。
次に同じ病原体が侵入したときには、この抗体が素早く働き、病気から守ってくれます。このプロセスを通じて、赤ちゃんは徐々に免疫力を高めていきます。
発熱は防御反応
赤ちゃんが発熱するのは、体が病原体と戦っている自然な反応です。体温が上がることで免疫細胞の働きが活発になり、病原体の増殖を抑えます。
発熱は免疫システムが正常に機能している証拠でもあり、過度に恐れる必要はありませんが、発熱による不快感を和らげ、脱水症状を防ぐための適切なケアが重要です。
予防接種
予防接種は、特定の感染症への免疫を安全に得るための大切な手段です。病原体の一部や無毒化した病原体を体内に入れることで、あらかじめ抗体が作られます。実際に感染した場合でも、重症化を防ぐことができます。
予防接種には定期接種と任意接種の2つのタイプがあり、定期接種は国や自治体が推奨する感染症に対するもので、公費が一部または全額負担されます。任意接種は自己負担となりますが、赤ちゃんの健康を守るために検討しましょう。
接種スケジュールは医療機関や自治体のウェブサイトで確認できます。
(まとめ) 赤ちゃんの平熱を知ろう!0〜1歳児の体温管理ガイド
赤ちゃんの平熱は36.5度~37.4度、一般的には37.5度以上で発熱とされています
赤ちゃんの体温管理は、健やかな成長を支える上で非常に重要です。生まれたばかりの赤ちゃんは、大人のように体温調節がうまくできず、ちょっとした環境の変化にも敏感に反応します。体温の変化は、赤ちゃんからの大切なサインです。
0〜1歳児の体温管理においては、赤ちゃんの体温が年齢によって異なることを踏まえ、日々の体温測定を通じて「いつもの体温」を把握することが必要です。
赤ちゃんの体温変化を正しく理解し、適切なケアを行うことで、感染症などの病気から赤ちゃんを守り、健やかな成長をサポートしていきましょう。