ミネラルウォーターだけでは鉄分を補うことができません
貧血の多くは、鉄分の不足で起きる場合があります。女性は鉄分が不足しがちといわれています。そのため鉄分をきちんと補うことが大切です。
ミネラルウォーターは、少しのミネラル分しか含まれていません。また商品によっては鉄分が入っていないものもあります。鉄分を補うためには、バランスのよい食事でとるようにしましょう。
貧血症状が酷い場合には、専門医の診察を受けるようにしてください。鉄分不足以外の病気が隠れている可能性があります。
目次
ミネラルウォーターに含まれる鉄分は少量です
鉄欠乏性貧血などの症状で悩んでいる女性は増えてきているといわれています。女性に多い理由として、定期的な月経・極端なダイエット・偏食などがあります。
また現代は、鉄鍋の使用も少なくなり、食事の鉄量が減少している傾向が高いとも考えられています。そのため鉄分が不足しやすい状況です。鉄分が不足することで、貧血・疲れやすい・倦怠感・冷え性などの症状が現れます。またイライラするなど精神面にも影響を及ぼすといわれています。
ミネラルウォーターで鉄分を補うという人がいますが、ミネラルウォーターだけで十分に補填することはできません。それはミネラルウォーターに含まれる鉄分量が、微量だからです。ミネラルウォーターに含まれるミネラルの量は、きちんとした決まりがありません。そのため鉄分がどの程度含まれているかは、商品によって異なります。
また鉄分は体内の吸収率が高い栄養素ではありません。そのため微量の鉄分を補っても、1日に必要な鉄分をとることは難しいといわれています。つまり鉄分を補うためにはミネラルウォーターに頼りすぎずに、食事を見直すようにしてください。
ミネラルウォーターに含まれるミネラル成分とは
ミネラルウォーターには、4つのミネラルが含まれています。ミネラルウォーターには硬水と軟水があり、含まれるミネラル成分にも違いがあるので、成分や軟水・硬水の違いを覚えておくと健康に役立てられるでしょう。
ミネラルウォーターには、主にカルシウムやナトリウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラルが含まれています。普段から身体に必要なミネラル成分の働きについて、紹介します。
カルシウム
カルシウムは、体内にあるミネラルのうちで最も量が多く、体重の1.5~2%を占めているとされています。一般的には強い骨や歯を作る働きが知られていますが、体の免疫力を高め、精神的に落ち着かせる働きも得られます。
カルシウムは欧米でよく飲まれている硬水に多く含まれ、日本の軟水にはあまり含まれていません。そのため、日本人は欧米人に比べてカルシウムの摂取量が少ないといわれています。
ナトリウム
ナトリウムは、塩(塩化ナトリウム)にも含まれているミネラル成分です。体内のナトリウム濃度は適正に保たれている必要があるため、濃度が極端に低くなると水分を体外に排出して濃度を保とうとします。
ナトリウムの過剰摂取は脱水症状になる恐れがあるため、注意が必要です。
カリウム
カリウムは、細胞内のナトリウムの排泄を促して体内の水分量を調節する働きがあります。カリウムの摂取により血圧を下げる作用が働くため、高血圧の予防につながるでしょう。
マグネシウム
マグネシウムは、丈夫な骨や歯を作るカルシウムの働きをサポートするといわれています。カリウムとナトリウムの量を調整するため、血圧を調整する働きもあります。
水にもさまざまなミネラルが含まれているため、食事に含まれている栄養素が足りなかったときには、水の摂取により栄養素を補給することが可能です。食事の栄養素を基準に、水のミネラル含有量をチェックすることで栄養素の過剰摂取予防にもつながります。
硬水と軟水の飲み分け方
水1000mlに溶け込んでいるカルシウムとマグネシウムの量によって「硬度」が決まり、「軟水」と「硬水」に分けることができます。硬度が60mg/l未満だと「軟水」、120~179mg/l の水は「硬水」に分類されます。
・硬水
ミネラルを多く含んでいる硬水は、ヨーロッパで主に飲料水として飲まれている水です。ヨーロッパの食事は肉中心なので、充分なミネラルが摂れる硬水がまさに適した水といえるでしょう。
・軟水
日本では、天然水、地下水、水道水など、普段から引用している水は軟水が一般的です。軟水はミネラルが少ないので、食事が欧米化している現代の日本では硬水と硬水を飲み分けることがおすすめです。
鉄分を補うためにはバランスのよい食事を意識しましょう
鉄分には、非ヘム鉄とヘム鉄に分けられます。
非ヘム鉄
植物性の食材に含まれている鉄分です。吸収率が低いという特徴があります。
ヘム鉄
動物性の食材に含まれています。非ヘム鉄に比べ、吸収率が高いといわれています。
鉄分は成人男性であれば10mg、女性は12mgが1日に必要な量とされています。鉄分の吸収率は高いとはいえないため、しっかりバランスを考えて積極的に摂ることが大切です。
鉄分の吸収率を高めるためには、ビタミンCやたんぱく質と一緒に摂る方がよいと考えられています。また食物繊維を多く含む食材と一緒に摂ることで、鉄分の吸収を妨げる恐れがあるため注意しましょう。
・ヘム鉄を多く含む食材
- 豚レバー
- 鶏レバー
- アサリの佃煮
- 煮干し
- 干しエビ
- 削り節の佃煮
・非ヘム鉄を多く含む食材
- パセリ
- 唐辛子
- プルーン
- 干しぶどう
- 焼き海苔
- とろろ昆布
これらの食材を普段の食事に意識して取り入れるようにしましょう。毎日積極的に摂ることで、鉄分不足の状態を予防、改善することに繋がります。
貧血症状が酷い場合には専門医の診察を受けましょう
鉄分を補うために、安易にサプリなどを服用している人がいます。鉄分の過剰摂取は、胃もたれなどの症状を招き、最悪の場合は肝硬変などが起こる恐れがあります。そのため安易にサプリに頼らず、できる限り食事でとるようにしましょう。
貧血の症状は、鉄分不足だけで起こる訳ではありません。体内のどこかで出血などが起きている可能性もあります。貧血の症状が酷い場合には、一度専門医の診察を受けるようにしましょう。状態によっては、鉄剤などを処方される場合があります。
専門医の指示の下で鉄剤を服用できるため、過剰摂取によるリスクを軽減することができます。また別の治療を行うこともあるため、早めに検査をされてください。
ミネラルウォーターは鉄分をしっかり含んでいる商品もあります。きちんと確認し、ミネラルウォーターを飲むようにしてください。また鉄分の吸収を高めるための工夫も行うように心がけましょう。
(まとめ)ミネラルウォーターで鉄分を補えるの?
ミネラルウォーターだけでは鉄分を補うことができません
女性に多い鉄欠乏性貧血の症状には、鉄分の補給が必要です。鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、食事で鉄分を積極的に摂取することで貧血の改善につながります。
一般的にはミネラルウォーターにはミネラル分が含まれていますが、不足している栄養を補給できるほどの鉄分は含まれていません。ただし、ミネラルウォーターのなかには鉄分を多く含んでいる商品もあるため、成分をよく確認してから摂取すると鉄分の補給ができるでしょう。