水道水に含まれるカルキとは、次亜塩素酸カルシウムのこと。必要に応じてカルキ抜きを検討しましょう。

毎日の生活に欠かせない水道水。その中に含まれる「カルキ」という成分について、何となく聞いたことがある方も多いでしょう。しかし、「カルキって一体何?」「人体に影響はないの?」といった疑問を持つ方もいるかもしれません。この記事では、カルキの正体や必要性、そしてカルキ抜きが必要な場合について解説します。

カルキとは、次亜塩素酸カルシウムのこと

水道水に含まれるカルキとは、次亜塩素酸カルシウムのことです。カルキとは、別名で「さらし粉」とも呼ばれています。

現在、多くの水道局では、次亜塩素酸カルシウムを使用していないため、水道水にはカルキが含まれていないと言えます。代わりに近年では、次亜塩素酸ナトリウムが主に使用されているのです。

では、なぜ「水道水にカルキが含まれる」と言われるのでしょうか。これは、かつて水道水にカルキを意味する次亜塩素酸カルシウムが使われていた名残だと言えます。

現在の水道水に次亜塩素酸カルシウムを使うことはほとんどありません。しかし、次亜塩素酸ナトリウムも同様にカルキだと認識している人が多いため、「水道水にカルキが含まれている」と表現されることがあります。

この場合、カルキが含まれているわけではなく、消毒のための塩素を指しています。そのため、カルキ=塩素だと考えておいても良いでしょう。

次亜塩素酸カルシウムは、かつて水道水に含まれていたほか、今でも繊維の漂白剤、食品添加物、プールの消毒などにも使用されています。水道水には、病原菌の繁殖を防ぐ消毒として用いられてきました。

白い粉状であることから、水道の蛇口に付着する白く固まった物質が、カルキのせいだと考えられることがあります。しかし、水道水の蛇口に付着する白い物質はカルキではなく、水道水に含まれるミネラルが固まったものです。

そのため、浄水器を使用していても、水道水の蛇口周辺に白い塊が付着することがあります。水道水に含まれるミネラルは人体に必要な物質であり、浄水器で除去しないのが一般的です。

次亜塩素酸カルシウムと次亜塩素酸ナトリウムの大きな違いは、固体なのか液体なのかです。さらし粉の固体として使うのが次亜塩素酸カルシウムで、次亜塩素酸ナトリウムは液状となっています。

どちらもアルカリの性質があり、病原菌のタンパク質を壊して殺菌する作用があります。

水道水にカルキが必要な理由は、ウイルスや細菌などの除去

水道水にカルキが必要な理由は、水中のウイルスや細菌などの病原菌を取り除く必要があるからです。水道法第4条及び第22条等には、「水道水は清浄でなければならない」と記載されており、病原微生物を除去するために浄水設備に消毒設備が備わっている必要があるとされています。

水道水は、多くの人にお水を供給する公共インフラです。有害な微生物を除去し、人々の健康被害を防ぐため、水道水にカルキは不可欠です。

水道水に含まれる可能性がある病原菌には、大腸菌・黄色ブドウ球菌・ノロウイルス・コレラ菌・赤痢菌・インフルエンザウイルスなどがあります。これらの病原菌は、水道水を介して伝染病を拡散させるリスクがあるため、水道水には消毒のためにカルキが含まれているのです。

よく山の生水を飲んでお腹を壊したという話を聞くことがありますが、水道水を消毒せずに家庭に届けることは、同じようなリスクがあります。私たちが毎日安心して水道水を飲めるのは、消毒をして病原菌を減らしているからです。

また水道水の基準には、有害物質を含まないこと、異常な酸性やアルカリ性にならないこと、ほとんど無色透明であるという基準もあります。消毒による臭気は認められていますが、異常な臭味がないことも基準のひとつです。

水道水の消毒として使用される物質は、微生物を除去する効果があるだけでなく、異常が発生しないように配慮されています。消毒として使われるカルキは食品添加物としても使用が認められているもので、水道水の品質を一定に保ちながら、消毒効果も得られる物質として選ばれているのが特徴です。

水道法では蛇口から出る水道水の遊離残留塩素を0.1mg/L以上とすることが規定されています。ただし、残留塩素は時間とともに減少するため、家庭に届く際には濃度が過剰にならないよう管理されています。

日本の水道水は、世界でもトップクラスの安全性

日本の水道水では、残留塩素濃度が0.1mg/L以上とする決まりがあります。一定量の残留塩素濃度が認められているのは、水道水からの感染症を防ぎ、安全なお水を供給するためです。

日本の水道水における残留塩素濃度の基準は、「一生涯飲み続けても安全」とされています。ただし、「残留塩素濃度が0.1mg/L以上」である点が気になる方もいるかもしれません。

「以上」とされているため、明確な上限はありませんが、1mg/L以下という目標値はあります。また、自治体によっても目標値を独自に設定し、水道水をおいしく飲めるよう配慮している地域もあります。

例えば、東京都・大阪市・鹿児島市では、おいしく安全に飲めるよう、家庭の蛇口で発生する残留塩素濃度の目標値は0.4mg/L程度です。さらに、鹿児島市ではおいしい水道水を実現するために、カビ臭・トリハロメタン・農薬などの独自基準を設けています。

地域によって水道水の塩素臭が多少異なるのは、自治体による残留塩素濃度の目標値が異なるためです。自治体によって目標値の上限を決めているのは、人体に影響を及ぼす恐れがあるからではなく、塩素臭が風味に影響を与える可能性があるためです。

また、WHO(世界保健機構)の飲料水水質ガイドラインでは、5mg/L以下という基準があります。5mg/L以下であれば、一生涯にわたり水道水を飲み続けても健康に影響がないとされているのです。

日本の基準は1mg/L以下が目標値であるため、日本の水道水の残留塩素濃度は極めて低く、安全に飲むことができます。日本の水道水の安全性は世界で見てもトップクラスで、誰もがそのままの水道水を安全に飲めるよう基準が定められています。

カルキ抜きが必要な場合とは?

日本の水道水の基準であれば、一生涯飲み続けても問題ないとされているのは、健康な人や抵抗力が正常の場合に限られます。そのため、以下のケースでは水道水を使う際にカルキ抜きが推奨されます。

赤ちゃんのミルクや離乳食を作る場合

赤ちゃんは大人と比べて免疫力が弱いため、ミルクや離乳食を作る際に水道水を使う場合は、カルキ抜きをしたほうが安心です。特に、生後半年から1歳くらいまでの赤ちゃんは免疫力が低いため、水道水のカルキは抜いたほうが良いでしょう。

生まれたばかりの赤ちゃんは、胎盤や初乳を通じて母体由来の免疫を得ています。しかし、生後半年になると母体由来の免疫力が得られにくくなるため、自身が免疫力を獲得するまでの期間、赤ちゃんの免疫が弱くなります。

赤ちゃんが免疫を獲得するのは、ウイルスなどの病原菌に感染した場合です。病原菌の情報から抗体を作り、徐々に赤ちゃんの免疫力が高まっていきます。

生後半年から1歳までの赤ちゃんは免疫力が低下しやすいため、水道水のカルキの化学物質に敏感に反応する可能性があります。さらに、胃腸も未発達な状態であるため、化学物質の影響を受けやすいと考えられており、注意が必要です。

厚生労働省は、赤ちゃんに与える水道水に関する明確なガイドラインを発表していません。ただし、赤ちゃんへの負担を軽減したい場合は、水道水のカルキ抜きがおすすめです。

また、赤ちゃんに水道水を与える際に、カルキ抜きを推奨する自治体があります。東京都大田区のホームページ上では、赤ちゃんに与える湯冷ましに水道水を使用する場合、やかんを使って一定時間沸騰させ、カルキ抜きをする方法が掲載されています。

ただし、カルキ抜きをした水道水は雑菌が繁殖しやすいため、早めに使い切るようにしてください。赤ちゃんに与えるミルク、離乳食、湯冷まし用にカルキ抜きした水道水は、その都度作ることが求められます。

料理やお茶に使う場合

水道水に含まれるカルキは、人によっては塩素臭を感じさせる原因となります。そのため、風味を重視する料理やお茶を作る際には、水道水のカルキ抜きがおすすめです。

カルキを抜くことで塩素臭がなくなり、食材が本来持つ味や香りが引き立ちます。特に、和食作りやお茶を淹れる際にはカルキ抜きが効果的です。

和食のように出汁を使う料理では、出汁のうまみや香りを引き出すことが求められます。また、白米を炊く際にもカルキ抜きをした水道水を使うと、お米そのものの甘みや香りを感じやすくなり、おいしくなるためおすすめです。

また、お茶は使用するお水の風味が影響されやすい飲み物です。例えば、コーヒーや紅茶を淹れる際にカルキ抜きをした水道水を使うと、本来の味や香りが引き立ち、よりおいしく仕上がります。

観賞魚等の水槽に使う場合

熱帯魚を飼う水槽に水道水を使う場合は、カルキ抜きがおすすめです。魚や水性の生き物にとって、水道水のカルキが生体に負担をかける可能性があります。

水道水に含まれるカルキは、人体に影響がない量に調節されています。しかし、体が小さい魚にとって安全な量とされてはいないため、熱帯魚など魚を飼う際には水道水のカルキ抜きを行い、負担を軽くすることが重要です。

カルキが含まれる水道水を使うと、熱帯魚やメダカの粘膜やエラを傷つける可能性があります。体にダメージがかかると病気の原因にもなるため、注意が必要です。

また、塩素消毒された水道水は、水槽内で有用なバクテリアもダメージを受けます。バクテリアは魚のフンなどから出る有害物質の影響を減らし、魚にとって住みやすい環境を作りますが、水道水の塩素によって減少すると、魚にも悪影響を及ぼします。

魚を飼う際に水道水を使っても、すぐに悪影響が出るわけではありません。しかし、徐々に魚の体や住む環境にダメージを与えるため、水道水を使う場合はカルキ抜きがおすすめです。

水道水のカルキ抜きは、汲み置きして一定時間日光に当てる方法や、市販のカルキ抜き剤を使用するやり方があります。手間や費用、生体への影響を考慮しながら、自分に合ったカルキ抜きを選択してください。

(まとめ)

水道水に含まれるカルキとは、次亜塩素酸カルシウムのこと。必要に応じてカルキ抜きを検討しましょう

カルキは水道水に含まれる物質です。近年では、より安全性の高いとされる次亜塩素酸ナトリウムが使用されるのが特徴です。

水道水にカルキが含まれていることに不安を感じるかもしれませんが、日本の水道法の基準はWHOの基準よりも厳しく、残留塩素濃度が低いため、一生涯飲み続けても問題ないとされています。ただし、カルキ抜きをしたほうが良い場合もあるため、必要に応じて水道水のカルキ抜きを検討しましょう。

【この記事の執筆】

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ピュアハワイアンWebマガジン編集部

この記事は、ピュアハワイアンを提供する株式会社トーエルの編集部が監修しており、ウォーターサーバーについて役に立つ情報発信を目指しています。

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