IT'S NOT ALWAYS CALM

2024-11-26

干物

砂浜に座って空を眺めていたら、こんな雲が晩秋の青空に広がっていた。綿帽子みたいなホワホワした雲があれば、短いすじ雲も羽毛布団を思わせる雲もある。ひと塊りでありながら色々な形になっていて、あそこにはいったいどんな風が流れているのか不思議に思う。そして、「干物」が食べたくなった。この雲、魚の干物に見えませんか？ちょうど真ん中あたり、青空が見えている隙間のところで開いていて、下のすじ雲が骨のある身で、上は肉厚な反対側の身。魚は鯵よりは大きく長く厚みのある、北海道産のホッケと言ったところかな。そうそう、北海道のホッケは今が旬で、この辺りの魚屋さんでも開いただけの「生ホッケ」を見かける事がある。塩焼きもいいなぁ…。そんな事を考えていたら、この白い雲からジュワッと焼ける音が、潮風に乗って聞こえてきた。

2024-11-20

収穫

蜜柑の収穫作業のお手伝いを始めた。果物番長の私はずっと体験したいと思っていて、偶然にも最近ご縁があり、小田原で長年続く蜜柑農家さんの所で、12月中旬までの収穫期のみアルバイトをさせて頂く事になった。一日目が終わっての感想は、想像以上に傾斜が厳しい…。下から見たのとその場に立つのでは大違い。かなり急な斜面に木が植えられているので、足元とバランスに気をつけないと、簡単に滑り落ちてしまう。移動の道も狭く平らではないし、勿論急な坂で、滑る。私は下へ降りて行く途中、見事に尻餅をついた。しかし、前を歩かれていた5代目のご主人はご高齢にもかかわらず、足元悪い急坂をサクサクと下って行かれた。何故蜜柑はこんなキツイ斜面に植えられているのか？満遍なく太陽の光を当てるのと水捌けを良くする為との事。収穫作業にあたっては、蜜柑に負担をかけない手の添え方や籠に溜まった蜜柑を運搬箱へ移す際に、地面の傾斜を考えて蜜柑が転がって傷がつかないようにするなど、作業の一つ一つに蜜柑への細かな気遣いが込められていた。丁寧な手作業を経て自分の元に届いていた事を知り、この冬の蜜柑は、一房の味わいが一層深みを増しそうだ。

2024-11-12

杓文字に惚の字

今年の新米は、お米不足と言う波乱の幕開けとなりましたね。ただこれをきっかけに、今までとは違う銘柄や産地のお米を試され、新たなお気に入り米を見つけた方もいらっしゃるのでは？実は私がそうで、300グラム入りのお米しかないお店で幾つか違うものを買っているうちに、甘さや粒の大きさ、粘りが強いかサラリとしているかの食感など、こんなにも違うものかと驚き、お米への興味が深まった。こうなるとご飯をより美味しくする道具まで気になりだす。そこで、しゃもじを変えた。プラスチック製から、国産木材へ。まず、炊けたお米をよそう瞬間、立ち上がる香りがとても良い。お米の温もりが木を通して手に伝わってくるのも、また良い。一瞬ではあるけれど、お米の水分がしゃもじに吸われ、それが最後の仕上げになって美味しさも増しているかもしれない。調べると、材質は檜、桜、栗、ツゲ、桑などあるようで、当然香りも感触も違うのだろうから、もっと色々試してみたくなる。しかし今、木のしゃもじに炊き立ての新米をのせて、そのまま口にふくみたい衝動を抑えるのに、苦労している。

2024-11-07

大漁苑

10月後半、ロングスプリングのウエットスーツで海に入っていた。1本気持ちよく波に乗って、のんびりパドルをしてまたポイントへ向かっていると、1㎝くらいの黒く細長いモノがボードの上にのっかった。海草かな？と思って見ると、小魚だった。すぐにサラリと海水に流されていったが、その後に同じ小魚の群れが10匹以上、シャシャシャ〜と跳ね、私のボードに上がってきた。ほんの一瞬、ボードの上が大漁豊漁宝船状態となりびっくり。あっという間に海の中へ戻って行ってしまったけれど、彼らにしてみれば、跳ねたら当然海水に落ちるかと思いきや、変な硬いモノに乗っかってしまったうえに、そこにはこんな大きな生き物(私)もいて、さぞかし驚いた事だろう。これは小魚が跳ねるのと私がパドルをして向かっているのと、そのタイミングと向きが偶然にピタリと合ったから起きた事だと思うのだけれど、以前に釣り好きの人が、手漕ぎボートで海に出たら魚がぴょんっと跳ねて舟に乗っかってきたよ、と話すのを、まさかぁ〜と笑ったのだが、どうやら本当だったのかも。

タイトルを見て歌い出した方、昭和ですね。